研究課題
本研究は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む閉塞性肺疾患における身体活動性の低下の病態や末梢気道由来の窒素化ストレスの意義を明らかにするのが目的である。研究期間全体を通じて行った研究の成果は以下のとおりである。47名(健常者6名、安定期喘息27名、COPD14名)を対象として、CTイメージング(Parametric Response Mapping、expiratory/inspiratory mean lung density ratio 、expiratory/inspiratory mean normal lung density ratio )を用いて、身体活動性とCTイメージングの関係を検討した結果、機能的末梢気道病変やエアトラップは身体非活動と関連することが明らかになり、定量的吸気呼気CTは身体活動のイメージングバイオマーカーとなりうることが判明した。また閉塞性呼吸器疾患(COPD/喘息)患者40名を対象として、身体活動性と関連する肺内外因子を検討した結果、気流閉塞及び肺の過膨張、日常生活で生じる息切れの増加といった肺内因子に加え、生活機能の低下、運動へのモチベーションの低下といった肺外の因子が、身体非活動と関連することも判明した。更に安定期喘息患者25名において、2METs(日常生活動作) 以上の身体活動性は末梢気道由来の窒素化ストレスや時間歩行試験時の酸素飽和度の低下と有意な負の相関を、末梢気道窒素化ストレスは時間歩行試験時の酸素飽和度の低下とも有意な正の相関を各々認め、喘息の重症度が増すにつれてその関係性が強まることが示唆された。このことから喘息においては、重症化するにつれて、末梢気道炎症による末梢気道の換気不全が運動時低酸素血症をきたし、日常生活の活動制限が生じやすくなることが示唆された。
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