マウスマクロファージcell lineであるJ774およびRAW細胞をターゲットとしてJurkt cellを使用して、小胞体ストレスによるアポトーシス細胞クリアランスへの影響とそのメカニズムを明らかにするための研究を継続した。これまでに、ツニカマイシンが小胞体ストレスを誘導し、これがRhoAを活性化させアポトーシス細胞の貪食を抑制していること、さらにはシャペロン(タウロウルソデオキシコール酸)によって回復すること、同様の現象がたばこ抽出液によっても起きることを明らかにした。また、マクロファージ内で小胞体ストレスがRhoAを活性化するメカニズムとして、IF2αの脱リン酸化阻害剤であるsarubulinalがアポトーシス細胞の貪食を容量依存性に抑制し、次にPERK阻害剤であるGSK2656157を加えて、ツニカマイシンによるアポトーシス細胞貪食の抑制における影響を検討したところ、GSK2656157は容量依存性にこれを回復させることを明らかにすることで、PERK-eIF2αが重要な役割を果たしていることを証明した。次に、マウスの肺胞マクロファージを用いて、ツニカマイシンによりアポトーシス細胞の貪食が抑制されること、さらにはsarubrinalやGSK2656157の効果もJ774細胞と同様であることを明らかにし、プライマリ細胞でもこれまで明らかにした現象を再現することができた。また、タバコ抽出液がもたらすRhoAの活性化が、GSK2656157によって抑制されることも確認し、昨年度までに明らかにしたそれぞれの現象の実証実験を終えることができ、論文を作成し投稿した。
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