研究課題/領域番号 |
16K09548
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
高山 浩一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50274444)
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研究分担者 |
井上 匡美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10379232)
金子 美子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30768825)
竹村 佳純 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50434684) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肺癌 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 効果予測因子 |
研究実績の概要 |
外科切除検体を用いてリンパ球浸潤の程度をメルクマールとして、相関する因子の探索を行っている。まず、外科切除標本のHE染色検体によりリンパ球浸潤部位と非浸潤部位を同定し、それぞれ0、1+、2+の3段階で定量化を行った。また、Tumor mutation burdenの蓄積にはゲノムの不安定性が関与していると考えられることから同検体におけるp53蛋白の発現を免疫染色の染色強度(0、1+、2+)と陽性細胞の割合(0、1+、2+、3+)の積によりスコア化した。しかしながら、リンパ球全体ではp53分子の発現との間に明らかな相関は見られなかった。そこで、リンパ球をさらにCD3、CD8、Foxp3による免疫染色で、Tリンパ球、細胞障害性Tリンパ球、制御性Tリンパ球を同定し同様にスコア化した。それぞれのリンパ球の浸潤スコアとp53分子の発現との相関を検討したが、統計学的に有意な関連は見られなかった。一方、腫瘍細胞におけるPD-L1の発現を同様にスコア化し、浸潤リンパ球との相関をみたところFoxp3陽性リンパ球との有意な関連を認めたが、CD3陽性リンパ球との相関は認められなかった。現在はTリンパ球の浸潤抑制に関与すると考えられるVEGFの発現を免疫染色によって同様にスコア化し浸潤リンパ球との相関について検討中である。また、CD3、CD8、Foxp3陽性の浸潤リンパ球とインターフェロンの産生の関連についても現在検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外科切除標本で腫瘍へのリンパ球浸潤(TIL)と相関のある分子を探索し、進行期肺がんにおける生検標本へ応用することで免疫チェックポイント阻害剤の効果予測因子の同定につなげる予定であったが、今のところTILと有意な相関のある分子の発見に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き外科切除標本を用いたTILの浸潤程度と相関のある分子の探索に努める。近年の報告ではTumor mutation burdenの総量が免疫チェックポイント阻害剤の効果予測因子として有望視されている。Tumor mutation burdenの増加につながる因子として当初ゲノムの不安定性にかかわるp53とTILの関連を検討したが、これまでの解析では相関を認めていない。今後は内科生検標本にも対象を拡大して実際の免疫チェックポイント阻害剤の効果との関連についても検討するとともに、遺伝子異常の修復酵素の発現との相関についても検討を行う。
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