研究課題/領域番号 |
16K09550
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
藤田 幸男 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60571023)
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研究分担者 |
木村 弘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20195374)
山内 基雄 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30405378)
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (80271203)
友田 恒一 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (90364059)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / 労作時呼吸困難 / 呼吸不規則性 |
研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の重要な自覚症状は労作時呼吸困難である。労作時呼吸困難は、身体非活動性をもたらし、ADL やQOL に影響を及ぼすだけでなく、独立した予後不良因子である。そのため、実臨床において、呼吸困難感を評価することは重要と考える。現在、労作時呼吸困難の原因は低酸素血症や高炭酸ガス血症、動的肺過膨張などがいわれているが、それだけでは説明がつかない労作時呼吸困難感を自覚する症例をしばしば経験する。そこで、申請者は労作時呼吸困難の原因として、呼吸パターン(不規則呼吸)も関与していると考えた。 本研究では、まず、respiratory inductance plethysmography(RIP)を用いて、15 分安静時の呼吸波形をモニタリングし、得られた呼吸波形から一呼吸毎の一回呼吸時間(吸気時間+呼気時間)、一回換気量の変動係数(標準偏差/平均×100)を算出し、呼吸不規則性指標とする。そして、呼吸不規則性指標と労作時呼吸困難やQOLとの関連を検討する。また、エルゴメーターでの運動時にも同様にRIP を用いて呼吸波形を収集し、安静時の呼吸不規則性と運動時の呼吸不規則性との差異を検討する。さらには、経時的に追跡調査を行い、呼吸不規則性指標が増悪や予後と関連するかどうか検討する。最終的には薬物や呼吸法の指導(口すぼめ呼吸や腹式呼吸に加え、メトロノームを用いた呼吸のリズム調整)などの治療介入を行った患者に対して、呼吸の安定化が得られるかどうか、呼吸の安定化が労作時呼吸困難やQOL、身体活動性の改善につながるかどうか検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では安静時の呼吸波形のモニタリングを行い、労作時呼吸困難やQOLとの関連を検討した。現時点での症例数は44名(男性41名、女性3名)、年齢 71.0±8.3歳(平均±標準偏差;以下同様)、BMI 21.5±3.5kg/m2、%FEV168.5±23.5%であった。MRCで評価した労作時呼吸困難は%FEV1と一回換気量の変動係数と関連を認めていた。また、呼吸不規則性指標はSGRQで評価した健康関連QOLとも関連していることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、呼吸のモニタリングを行ったCOPD患者を追跡調査し、呼吸不規則性指標と増悪や予後との関連性や呼吸不規則性指標の変化を経年的に見ていく予定である。現在、運動時の呼吸波形モニタリングのシステム構築に取り組んでいる。また、薬物治療や呼吸リハビリ(口すぼめ呼吸や腹式呼吸に加えて、メトロノームを用いた呼吸リズム調整)前後の呼吸波形解析を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年は症例数が少なく、呼吸波形解析を申請者自らが行った。今後は症例数蓄積とともに資料整理・呼吸波形解析補助する人的確保を行う必要が出てくると考える。また、現在、運動時の呼吸波形モニタリングのシステム構築に取り組んでいるところである。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、運動時の呼吸波形モニタリングのシステム構築に取り組んでいる。また、資料整理・呼吸波形解析補助する人的確保を行う予定である。
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