研究課題/領域番号 |
16K09553
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
清水 泰生 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80396621)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 脂質 / 血管内皮 / MALDI-IMS / LC-MS / 肺 / 再生 / 微小環境 |
研究実績の概要 |
Induced pluripotent stem cells (iPSC)から作成したendothelial cells (iEC)と肺性幹細胞(HPMSC)により作成される微小環境の解析の事前準備として下記の1)と2)の実験を行い下記の意義を見出した。 1)iPSCが自然分化する過程で変化する脂質をmatrix-assisted laser desorption time of-flight imaging mass spectrometry (MALDI-IMS)の手法で明らかにした。すなわち同一の培養系の中で分化したiPSCと未分化iPSCをMALDI-IMSで2次元的に解析し同一の脂質がiPSCの分化過程で変化することを示した(Shimizu Y et al, Anal Bioanal Chem 2017 ; 409:1007-1016)。 脂質には有用な抗体がなくその局在を決定することは困難であったが本研究の手法を用いることで同一の培養環境において変化する脂質分布を解析できる手法を示した。 2)iPSCからiECへの分化過程で変化をする脂質をreverse-phase ultra-high-pressure liquid chromatography (UHPLC)の手法で明らかにした。 成熟したECとiECの分化過程で細胞脂質構成を比較した。 iECを2-3代継代することでmatureなECと近似した脂質構成になることを明らかにした。 このことはiECと他の細胞をco-cultureした際の微小環境変化を解析するための有用なiECの基礎的データとなると考えられた(Nakamura Y, Shimizu Y (corresponding) et al. submitting)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度に予定したiPSCからECの分化誘導に関しては、複数の分化誘導方法を試し、既存の手法の変法にて最も効率よく簡便にECを誘導する方法を見出した。 血管新生(血管内皮のネットワーク, iEC network)は、市販の血管新生キットのプロトコールを変法し長期的に安定したネットワークの維持ができる実験系を確立した。 さらにfibroblastとiECのco-cultureによるネットワーク形成モデルも確立した。 iEC networkをMALDI-IMSにて解析しnetwork部位に強いintensityを持つm/zのクラスターを見出している。 また、通常のco-cultureでiECと肺性幹細胞(HPMSC)間の細胞質の交換を検討中である。 これはiEC networkとHPMSCのco-culture時の微小環境変化の前段階の検討である。 H29年度予定であったMALDI-IMS解析が本年度進められている分、H28年度予定していたiEC networkとHPMSCのco-cultureをH29年度進める予定であることから、おおむね良好な進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
通常のco-cultureにおけるiECと肺性幹細胞(HPMSC)間の細胞質の交換による脂質代謝への影響を検討するとともにiEC networkとHPMSC co-culture 時の局所の脂質代謝をMALDI-IMSで解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費において今年度残額(33393円)よりも大きい物品の購入を考えたため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
物品購入において次年度使用額も併せて有効に物品購入に使用予定である。
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