研究課題/領域番号 |
16K09554
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
伊藤 潤 順天堂大学, 医学部, 助教 (80747692)
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研究分担者 |
原田 紀宏 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10465065)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スギ花粉舌下免疫療法 / スギ花粉症合併喘息 / バイオマーカー / CD27 |
研究実績の概要 |
喘息とアレルギー性鼻炎は、共通する危険因子(アレルゲン)や類似する粘膜構造などから病態生理学上の関連性が強く、喘息患者の70%にアレルギー性鼻炎の合併を認め、アレルギー性鼻炎の合併によって喘息発症リスクが高くなることやアレルギー性鼻炎合併喘息においては、喘息発作の発現率が高くなることなどが報告されている。本研究においては、スギ花粉症合併喘息患者におけるスギ花粉舌下免疫療法の喘息に対する治療効果を解析し、その有効性を明らかにするとともに、スギ花粉舌下免疫療法の治療効果を予測・反映する新規バイオマーカーの開発を目的としている。平成28年度は4症例でスギ花粉舌下免疫療法が開始され、うち2症例は副作用と他疾患のため投与中止となっている。このため、喘息に対する効果とバイオマーカー検索については、今後の症例集積が必要な状況である。現時点で15症例が投与開始予定となっており、投与開始はスギ花粉飛散時期を避けるため、数か月後に投与開始予定である。血液検体のバイオマーカーについては、補助シグナル分子CD27陰性CD4 T細胞がハンノキ花粉症患者の減感作療法のサロゲートマーカーに成り得ることが報告されている。我々は、抗CD70抗体が喘息モデルマウスの系を抑制すること、CD27陰性CD4T細胞がTh2サイトカインであるIL-4、IL-5、IL-13を有意に産生すること、抗CD70抗体投与によりCD27陰性CD4T細胞が減少することを報告しており、CD27陰性CD4 T細胞をスギ花粉舌下免疫療法のバイオマーカー候補の一つに想定している。スギ花粉舌下免疫療法を開始した4症例のうち投与継続かつ明らかに喘息症状に改善を認めている1例では、末梢血CD27陰性CD4 T細胞の減少を認めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
スギ花粉舌下免疫療法を必要とするスギ花粉症合併喘息患者の集積に難渋しているが、現在15症例が投与開始予定となっている。本研究の適応となる患者をさらに集積する目的に関連医療機関である順天堂大学医学部附属浦安病院、同練馬病院、同静岡病院、同順天堂東京江東高齢者医療センター、公益財団法人東京都保健医療公社東部地域病院での症例集積を実施している。このため、遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
さらなる症例の集積を推進するため、関連医療機関である順天堂大学医学部附属浦安病院、同練馬病院、同静岡病院、同順天堂東京江東高齢者医療センター、公益財団法人東京都保健医療公社東部地域病院での症例集積も継続する。また、血液検体のバイオマーカーの候補としては、上述のCD27陰性CD4 T細胞のほかに、末梢血液中の自然リンパ球分画、抗IL-13抗体治療のバイオマーカーとして期待されるペリオスチンをはじめ、テネイシンCなどの線維化マーカー、抗炎症性脂質メディエーターやサイトカイン、ケモカインなどを網羅的に探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例集積の遅れにより、次年度使用額が生じている状況がある。
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次年度使用額の使用計画 |
バイオマーカー探索としてCD4陽性T細胞分画および自然リンパ球分画をフローサイトメトリーで解析する。また、脂質メディエーターは、高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析装置を用いて網羅的に解析する。線維化マーカー、サイトカイン、ケモカインなどはマルチプレックス・ビーズアレイ・システムとELISAを用いて測定する。
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