研究課題
喘息とアレルギー性鼻炎は、共通する危険因子(アレルゲン)や類似する粘膜構造などから病態生理学上の関連性が強く、喘息患者の70%にアレルギー性鼻炎の合併を認め、アレルギー性鼻炎の合併によって喘息発症リスクが高くなることやアレルギー性鼻炎合併喘息においては、喘息発作の発現率が高くなることなどが報告されている。本研究においては、スギ花粉症合併喘息患者におけるスギ花粉舌下免疫療法の喘息に対する治療効果を解析し、その有効性を明らかにするとともに、スギ花粉舌下免疫療法の治療効果を予測・反映する新規バイオマーカーの開発を目的としている。平成29年度は6症例が追加となり、計10症例となったが、平成28年度に2症例が副作用と他疾患のため投与中止となっている。現時点でスギ花粉舌下免疫療法を継続している8症例では、花粉症症状の軽減を認めている。平成30年度では、更なる症例集積を行い、スギ花粉症合併喘息患者におけるスギ花粉舌下免疫療法の喘息に対する治療効果を解析し、その有効性を明らかにするとともに、スギ花粉舌下免疫療法の治療効果を予測・反映する新規バイオマーカーの開発を目指す。血液検体のバイオマーカーについては、補助シグナル分子CD27陰性CD4 T細胞がハンノキ花粉症患者の減感作療法のサロゲートマーカーに成り得ることが報告されている。我々は、抗CD70抗体が喘息モデルマウスの系を抑制すること、CD27陰性CD4T細胞がTh2サイトカインであるIL-4、IL-5、IL-13を有意に産生すること、抗CD70抗体投与によりCD27陰性CD4T細胞が減少することを報告しており、CD27陰性CD4 T細胞をスギ花粉舌下免疫療法のバイオマーカー候補の一つに想定している。1年の経過がフォローできており、明らかに喘息症状に改善を認める1例では、末梢血CD27陰性CD4 T細胞の減少を認めている。
4: 遅れている
スギ花粉舌下免疫療法を必要とするスギ花粉症合併喘息患者の集積に難渋している。本研究の適応となる患者をさらに集積する目的に関連医療機関である順天堂大学医学部附属浦安病院、同練馬病院、同静岡病院、同順天堂東京江東高齢者医療センター、公益財団法人東京都保健医療公社東部地域病院での症例集積を実施している。このため、遅れているとした。
さらなる症例の集積を推進するため、関連医療機関である順天堂大学医学部附属浦安病院、同練馬病院、同静岡病院、同順天堂東京江東高齢者医療センター、公益財団法人東京都保健医療公社東部地域病院での症例集積も継続する。また、血液検体のバイオマーカーの候補としては、上述のCD27陰性CD4 T細胞のほかに、末梢血液中の自然リンパ球分画、ペリオスチンやテネイシンなどの線維化マーカー、抗炎症性脂質メディエーターやサイトカイン、ケモカインなどを測定する。
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