研究課題
喘息とアレルギー性鼻炎は、共通する危険因子(アレルゲン)や類似する粘膜構造などから病態生理学上の関連性が強く、喘息患者の70%にアレルギー性鼻炎の合併を認め、アレルギー性鼻炎の合併によって喘息発症リスクが高くなることやアレルギー性鼻炎合併喘息においては、喘息発作の発現率が高くなることなどが報告されている。本研究においては、スギ花粉症合併喘息患者におけるスギ花粉舌下免疫療法の喘息に対する治療効果を解析し、その有効性を明らかにするとともに、スギ花粉舌下免疫療法の治療効果を予測・反映する新規バイオマーカーの開発を目的としている。2016年から2019年にスギ花粉舌下免疫療法を導入したスギ花粉症合併喘息18例のうち妊娠1例、転居1例、転院1例、副作用(掻痒感)1例を除いた計14例が対象となっている。そのうち1年以上が経過した9症例について、治療前後の症状や呼吸機能検査などの変化を比較検討した結果では、花粉シーズン中の鼻症状または喘息症状は、スギ花粉舌下免疫療法前に比べ治療後で有意な改善を認めている。また、治療前後での一秒量や呼気中一酸化窒素濃度に有意差を認めなかったが、強制周波数オシュレーション法では治療前に比べ治療後に改善を認めている。これらの結果からは、スギ花粉症合併喘息患者においてスギ花粉舌下免疫療法により喘息が改善する可能性が示唆される。一方、血液検体のバイオマーカーについては、補助シグナル分子CD27陰性CD4陽性T細胞がハンノキ花粉症患者の減感作療法により減少することが報告されているが、本研究においても、現状の14症例の解析において、治療前のシーズンオフに比べて治療後の花粉シーズン中の末梢血CD27陰性CD4陽性T細胞の減少を認めている。スギ花粉症合併喘息患者におけるスギ花粉舌下免疫療法の喘息に対する有効性が示唆されるが、今後、更なる症例の集積が必要である。
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