研究課題/領域番号 |
16K09555
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
青木 琢也 東海大学, 医学部, 准教授 (70255438)
|
研究分担者 |
高木 敦司 東海大学, 医学部, 教授 (30256101) [辞退]
秦野 伸二 東海大学, 医学部, 教授 (60281375)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | マイクロRNA / 腫瘍免疫 / 次世代シークエンサー / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
進行肺癌根治例の当院での過去10年の検討から免疫系細胞の重要性が示唆された。microRNA (miRNA)は遺伝子発現制御機能を持ち、遠隔細胞に情報伝達が可能である。増悪・転移・治療効果と関連した免疫系細胞の変化を調べ、その細胞表面上の分子と細胞内のmiRNAを含むnon-coding RNA (ncRNA)およびサイトカインとエクソソーム中のmiRNAを解析する。また、miRNAの標的遺伝子をbioinformatics的手法で決定する。さらに、免疫抑制で極めて重要な制御性T細胞と、そのマスター転写因子であるFOXP3に影響するncRNAを探索する。以上により肺癌患者での免疫障害を網羅的に解析すると同時に、その障害の原因を遺伝子レベルから解明することを目的とした。 血清エクソソームからのRNA抽出および白血球の分離・解析の条件を決定した。臨床研究計画書および患者同意書を作成し、当院の臨床研究審査委員会に申請し、研究の実施が承認された。 研究対象者として①細胞診あるいは組織診により非小細胞肺癌あるいは小細胞肺癌と診断が確定されている。②病期が決定された患者。③本人から同意を得られた者。これら①から③のすべてを満たす患者を対象とし、インフォームド・コンセントを実施後、血液約8ccを一般の採血と一緒に採血し、検体の収集を行っている。肺がん患者においては、概ね2か月おき(1-6か月の遅延を許容する)あるいは病状に変化がある場合に、採血を行っている。現在までに、66症例、213ポイントでの採血を行い、検体は、血漿および単核球に分離され凍結保存を行っている。 そのうち、20症例約100ポイントにおいて、フローサイトメーターによる測定を行った。科研費の期間延長が認められたことから、さらに多くの症例における測定と解析が可能と考えられ、肺がん患者の免疫異常の解明に寄与できると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
血漿からのRNA抽出および単核球の分離と解析の条件に時間を要した。臨床研究委員会に研究の実施の承認を得られ、患者から検体の収集を行っているが、収集スピードは、それほど速いものではない。今までに、66症例 213ポイントの収集ができたことは、研究の進展と考えられるが、フローサイトメーターによる測定には、時間を要する。1年間の期間延長の許可をいただいたことから、さらに症例の集積をし、測定の完了および解析が可能と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
収集した検体のフローサイトメーターによる測定および解析を完了し、病状の重要な局面における検体でのmiRNAを測定することを考えている。臨床所見と合わせることにより、肺癌患者での免疫障害を細胞レベルで解明し、さらに、その障害の原因を遺伝子レベルから検討したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究において、次世代シークエンサーによる解析には、経費がかなり必要であり、その解析を網羅的に行うことは、予算を考えると困難である。そのため、病状に変化があり、細胞レベルでの変化を認めた検体を選んで、解析を行う必要がある。現在、ようやくある程度の症例数と測定ポイントでの検体を収集することができ、フローサイトメーターによる測定と解析を行っている。いままでの研究では、検体の収集が中心であったことから、次年度使用額が生じた。期間を1年間延長して頂いたことから、細胞レベルおよび遺伝子発現調節レベルでの測定が可能になると考えている。
|