研究課題
本年度は研究分担者である石井正紀を中心に、in vitroの研究のための実験準備ならびに実験系の作成を行った。弾性線維のミクロフィブリルに存在することが知られているLTBP-4のノックアウトマウスの肺では、肺気腫の表現型を呈することが知られている。また肺の弾性線維におけるエラスチンは、喫煙刺激により好中球などから分泌されるエラスターゼによる分解を受けることで、肺気腫が誘発されることが知られている。しかしながら、肺の弾性線維形成におけるLTBP-4とエラスチンの相互作用については、現在のところ明らかになっていない。そこで、本研究では、肺の弾性線維における重要な因子として考えられるLTBP-4とエラスチンとの相互作用の仕組みを明らかにすべく、これまで行われていないヒトの肺線維芽細胞培養での弾性線維形成系についての実験系の構築の準備を進め、必要な物品の購入などは完了した。またヒト検体を用いた臨床研究を行うための倫理委員会への申請準備中である。
3: やや遅れている
In vivo の系の確立に難渋していることが主な原因です。
今後はヒト肺線維芽細胞を使用して、siRNAを用いてLTBP-4のノックダウンを行い、エラスチンおよびLTBP-4の抗体で蛍光染色を行なう。また、LTBP-4をノックダウンした状態で、リコンビナントLTBP-4を濃度別に添加し、エラスチンおよびLTBP-4の抗体で染色して、蛍光顕微鏡でこれらの発現状況を確認する。さらに、LTBP-4のノックダウンに伴う炎症との関連を明らかにするために、炎症性サイトカイン(MIP-1α、MIP-2、IP-10、MCP-1など)の発現量をRT-PCRを用いて検討する予定である。またin vivoの系でエクソソーム解析の実験系の確立を行う。さらに倫理委員会での審査通過次第、肺気腫型COPD 患者の血中および痰中のエラスチン単量体などの凝集塊含有exosome の増加の検討を行うために、検体採取を行う。
購入予定の試薬を買わずに、既存の試薬で実験を行うことができた為です。
In vitroの系での実験を進めつつ、in vivoでのexosome解析の系の確立を目指して行きます。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件)
Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol
巻: 312 ページ: L268-L276
10.1152/ajplung.00151.2016.
Respirology
巻: 22 ページ: 684-690
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