研究課題
弾性線維のミクロフィブリルに存在することが知られている。LTBP-4 のノックアウトマウスの肺では、肺気腫の表現型を呈する事が知られている。また肺の弾性線維におけるエラスチンは、喫煙刺激により好中球などから分泌されるエラスターゼによる分解を受けることで、肺気腫が誘発されることが知られている。しかしながら、肺の弾性線維形成におけるLTBP-4とエラスチンの相互作用については、現在のところ明らかになっていない。そこで、本研究では、肺の弾性線維における重要な因子として考えられるLTBP-4とエラスチンとの相互作用の仕組みを明らかにすべく、これまで行われていないヒトの肺線維芽細胞培養での弾性線維形成系についての実験系を検討した。ヒト肺線維芽細胞(L299)を使用して、siRNAを用いてLTBP-4のノックダウンを行い、エラスチンおよびLTBP-4の抗体で蛍光染色を行ったところ、LTBP-4のみならずエラスチンの発現抑制の傾向が認められた。またLTBP-4のノックダウンにより、炎症性サイトカイン(MMIP-2、IP-10、MCP-1など)の発現量が増加する傾向を認めた。また東京都健康長寿医療センターでは、「老化に伴う呼吸器・血管の形態変化と関連する老年病の病理学的検討」の研究名で、同センター病理診断科で保存されている剖検例・外科切除例を使用する事の倫理委員会からの承認が得られた。これまで連続剖検1189例の検討から、肺気腫患者には肺癌、 大動脈瘤、胃潰瘍の併存率が有意に高いことが示された。また、 肺気腫の比率は70歳以上の群では加齢による変化はみられず、 喫煙率との関連がみられた。