研究課題/領域番号 |
16K09561
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
野呂 林太郎 日本医科大学, 医学部, 助手 (50366738)
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研究分担者 |
清家 正博 日本医科大学, 医学部, 教授 (30366687)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 早期肺癌再発予測 / 血管浸潤 / 遺伝子シグネチャー |
研究実績の概要 |
現在非小細胞早期肺癌Ⅰ期、特にIA期であっても術後化学療法が必要な予後不良群や不必要な予後良好群が存在し、正確に予測できる再発予測マーカーの同定が必要である。Ⅰ期肺癌における再発予測マーカーを構築し、さらに術後化学療法が必要な予後不良患者と不必要な予後良好患者を選択する治療選択マーカーを構築することを目的とした。当該年度は術後化学療法群50例および経過観察群100からなる150検体規模のFFPE標本からRNAを採取した。そしてFluidigm arrayによる4 gene signatureからなる4遺伝子(BRCA1 HIF1A XPO1 DLC1)の発現解析を行った。さらにMidas® III Automated Microscope Slide Stainer (EMD Millipore)を用いてワイゲルトフクシン染色による病理学的血管浸潤(BVI)の評価を行った。高危険群では低危険群に比べ術後化学療法群ではむしろ再発期間が延長していた。しかしながら無治療経過観察群では高危険群では低危険群に比べ術後化学療法群では再発期間が短縮していた。よって本診断システムの初期目標は達成された。次年度はさらにValidationサンプルとして100例の解析を予定している。さらに4遺伝子機能とは異なるACTN4活性(FISH法)(Noro R, 2013 Annals of Oncol)の評価も今回の自験例で予算範囲内で行い様々なModalityを交えた万能な再発予測マーカーを構築する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ホルマリン包埋切片からのRNA抽出に時間を要した。症例により、Qualityに差が生じた。しかしながら、質の良いプローブ設定を行い、正常部分が混入しない十分な腫瘍量を確保できたため学習セットまではあるが、遺伝子発現解析が終了した。 また臨床情報(アウトカム)との統計解析は、予想通りの結果に近い形になった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに学習セット150例の4遺伝子発現解析と病理学的血管浸潤の評価を行った。 統計学的に高危険群予測の術後化学療法のメリットを示すことができた。次年度はValidationセットしてさらに100例ほどの解析を行いたい。さらに4遺伝子機能とは異なるACTN4活性(FISH法)(Noro R, 2013 Annals of Oncol)の評価も今回の自験例で予算範囲内で行い様々なModalityを交えた万能な再発予測マーカーを構築する予定である。 既にACTN4活性を示すFISH解析の条件検討は終了している。本研究結果を米国癌学会および論文での報告を予定している。そして次なるステップとして国際共同研究、海外のサンプルの解析の計画を立てる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:学習セットにおいてQualityのいいRNA抽出に時間を要した。またPCR試薬やRNA抽出薬の一部は研究室にある既存のものを使用した。そのため当該年度は学習セットのみの解析となったため、予算範囲内での使用となった。使用計画次年度は学習セットの結果を参考に、Ⅰ期肺腺がんのValidationサンプル150例のRNA採取し遺伝子発現解析を行う。また病理学的因子および血管浸潤の有無(BVI)を解析する。さらに追加研究としてⅠ期予後マーカーとして知られている。また既に予後マーカーとして報告されているACTN4遺伝子のFISH解析を行う。残額含め、RNA抽出、PCR試薬およびFISH解析のプローブ代の一部に計上したい。
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