研究実績の概要 |
現在非小細胞早期肺癌は、完全切除がなされたⅠ期肺癌症例でさえ、30%が再発する。IA期であっても術後化学療法が必要な予後不良群や不必要な予後良好群が存在し、正確に予測できる再発予測マーカーの同定が必要である。代表者はアメリカ国立がん研究所において、I期肺腺癌の再発予測システムとしてBRCA1、XPO1、DLD1、HIF1A遺伝子からなる4癌関連遺伝子からなる遺伝子シグネーチャーを報告した。臨床実用化のためには、固定パラフィン包埋検体から施設の異なる新たなコホートにおいての再現性を示す必要がある。RNA抽出キットによるRNA抽出、プローブの選定および前増幅処理,フルダイムアレイによる発現解析を行う増幅法を開発することにより、質の悪い、微量のRNA安定した発現解析法を構築した。術後化学療法施行90例と経過観察群100例の切片より4癌関連遺伝子解析を行った。その結果は臨床情報と照合し現在解析中であるが、暫定的な解析では高リスク群では術後化学療法群 vs 経過観察群で5年再発期間は前者で延長していた。また一方で低リスク群では5年再発期間はほぼ同等であった。本シグネチャー高リスク群の術後化学療法の必要性を予測することができた。現在までにFFPEより良質のDNA RNAを採取して解析し、HOXA9および病理学的所見による相乗的予後予測に成功し、Lung Cancer. 2018 に報告している。現在本結果は統計解析中であり、さらなる確固たる再発予測マーカーとしてのACTN4遺伝子増幅(Noro R,Ann Oncol 2013)や本研究の付随研究として得られたPD-L1(Kobayashi K,Anticancer Res 2018)および病理学的所見をを踏まえ統合解析を行う。また本結果をValidationサンプルで示す必要性があり国際共同試験を計画中である。
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