研究課題/領域番号 |
16K09568
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
釼持 広知 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (50602637)
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研究分担者 |
今村 知世 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (00570954)
谷川原 祐介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (30179832)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非小細胞肺癌 / 臨床薬理学 / EGFRチロシンキナーゼ阻害剤 |
研究実績の概要 |
「非小細胞肺癌患者におけるエルロチニブの有効血中濃度に関する研究」は、予定症例登録数の70例の登録が終了し、2017年9月に行われた欧州臨床腫瘍学会においてその結果を発表した。エルロチニブの曝露量と奏効割合、無増悪生存期間などの有効性は相関を認めなかった。日本人おいては血中濃度に個人差は大きいものの、現在の承認用量で十分な優子政が期待できることが示唆された。また、エルロチニブの曝露量と副作用には有意な相関を認め、副作用を軽減するためにEGFR-TKIの投与量を調整することは個別化医療において重要な可能性が示唆された。 「非小細胞肺癌患者におけるゲフィチニブの血中濃度に関する研究」の研究は症例登録が38例で終了しており、現在ゲフィチニブの血中濃度の測定中である。ゲフィチニブ連日投与されている患者と隔日投与されている患者における曝露量を検討し、有効性や毒性について評価する。本試験においては、EGFR-TKIの有効性に及ぼす曝露量の影響のみならず薬効予測因子との関連性についても検討する。 「高齢者EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者に対する低用量アファチニブの第II相試験」は平成29年8月より登録を開始し、現在も症例登録中である(予定症例数25例のうち、18例が登録)。本試験は症例毎にアファチニブの血中濃度を測定している。アファチニブ20mg/日で投与を開始、副作用が許容され、アファチニブのトラフ濃度が低い場合にはアファチニブの投与量を増量する試験である。 EGFR-TKIはEGFR 遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者に対するキードラッグであり、患者毎に副作用と効果の両面において適切な投与量を検討することは極めて重要である。本研究を行なうことにより、EGFR-TKI投与患者における効果を確実なものとするための個別化投与の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「非小細胞肺癌患者におけるエルロチニブの有効血中濃度に関する研究」は平成26年3月より患者登録を開始し、平成27年11月に予定症例登録数の70例の登録を達成し、本研究の結果は2017年9月の国際学会で発表済である。 「非小細胞肺癌患者におけるゲフィチニブの血中濃度に関する研究」の研究は現在症例登録が進行中であり、平成29年7月38例の登録(予定症例登録数 45例)で登録を終了し、ゲフィチニブの血中濃度測定、および薬理遺伝学解析を現在行っている。ゲフィチニブ連日投与されている患者と隔日投与されている患者における曝露量を検討し、有効性や毒性について評価する。 「高齢者EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者に対する低用量アファチニブの第II相試験」は平成29年8月より登録を開始し、現在までに18例の登録がある(予定症例登録数 25例)。本試験は症例毎にアファチニブの血中濃度を測定している。
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今後の研究の推進方策 |
「非小細胞肺癌患者におけるエルロチニブの有効血中濃度に関する研究」は現在、学会発表も行い、論文作成中である。「非小細胞肺癌患者におけるゲフィチニブの血中濃度に関する研究」は現在、症例登録も終了し、ゲフィチニブの血中濃度の測定、薬理遺伝学解析を行っており、臨床背景、治療効果、副作用などのデータを収集し、ゲフィチニブの薬物動態パラメーターとの関係について解析を継続する。 「高齢者EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者に対する低用量アファチニブの第II相試験」静岡県立静岡がんセンター単施設で行っている前向き臨床試験であり、症例登録の促進を行うため、静岡県立静岡がんセンター内での試験実施の周知を継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に予定していた国際学会への参加が不可能となり、繰越しを行った。平成29年度は予定通りに研究費を使用している。平成30年度も国際学会への参加を予定しており、その旅費、および解析にかかる費用に当てる予定である。
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