研究課題
肺線維症における活性酸素(ROS)シグナリングの役割を明らかにするために、肺線維症の病態と関連する下記のin vitroのアッセイにおいて、ROSが関与するシグナルが担う役割の解析を継続した。①肺胞上皮細胞株におけるTGF-β1誘導性上皮間葉移行(EMT):TGF-β1刺激で産生されたROSは、Nrf2-Notch経路の活性化を介し、EMTの誘導で重要な役割を担っていた。Notch4の発現はNrf2に依存し、またNotch4のプロモーター領域にNrf2が結合しうるantioxidant responsive element、AREが複数存在した。Nrf2による直接的なNotch4の転写活性化の可能性を検討するため、プロモーターアッセイを行ったところ、上流157塩基対から始まるAREについては、予想に反し、プロモーター活性を抑制していることが明らかとなった。このAREについては内部にAP-1結合部位も含まれ、AP-1がNotch4の転写活性を抑制している可能性が示唆された。以上の結果をアメリカ胸部疾患学会にて発表した。②線維芽細胞株NIH3T3における細胞濃度依存性アポトーシス:細胞濃度に依存して活性化されるNotchシグナリングは、IL-6/STAT3活性化を介し、高細胞濃度で誘導されるアポトーシスを抑制していた。細胞濃度の増加とともに、細胞内のROSは低下する一方、HIF-1aの発現は増えていたことから、細胞濃度依存性のNotchシグナリングの活性化は、ROSではなく、低酸素などが誘因である可能性が考えられた。解析方法を追加して論文を作成・投稿し、European Journal of Cell Biologyにアクセプトされた。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
European Jpurnal of Cell Biology
巻: 97(7) ページ: 512-522
10.1016/j.ejcb.2018.09.001
Free Radical Biology and Medicine
巻: 129 ページ: 473-485
10.1016/j.freeradbiomed.2018.10.400