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2016 年度 実施状況報告書

呼吸器疾患におけるHippoシグナル伝達の役割の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K09575
研究機関東京大学

研究代表者

三谷 明久  東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (90739137)

研究分担者 漆山 博和  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20725303)
寺崎 泰弘  日本医科大学, 医学部, 准教授 (50332870)
田中 剛  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50456133)
田宮 浩之  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50722071)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードHippoシグナル / 肺発生
研究実績の概要

本研究では、肺発生および呼吸器疾患(特に間質性肺炎)におけるHippoシグナル伝達の働きを、細胞株を用いたin vitro実験や遺伝子改変マウス、ヒト肺組織サンプルなどを用いて、解明することを目的としている。特にpathwayの重要なエフェクターである転写コアクチベーターTAZ(Transcriptional coactivator with PDZ-binding motif)とYAP(Yes-associated protein)の働きの違いに着目した。TAZとYAPは相同性が高く、多くの機能が重複していることから、両者が区別して研究されることは殆どなかった。
当該年度には、TAZ-floxedマウス/YAP-floxedマウスを、SPC-Creマウスと掛け合わせることにより、肺上皮特異的TAZ欠損マウス/YAP欠損マウスを作成した。前者は、コンベンショナルなTAZ欠損マウスと同様の肺胞形成不全の表現型を示したが、肺上皮特異的YAP欠損マウスは、より早期での気管分岐の異常を認め、胎生致死であった。
二つの遺伝子欠損マウスの表現型の違いの原因として、発現部位の違いと機能の違いとを検討した。野生型の胎生肺の発現プロファイルを解析し、TAZとYAPの発現のピークが、それぞれ肺胞期と偽腺様期~管腔期であり、異なっていることが判明した(形態異常が出現する時期に一致する)。また、下流遺伝子の探索により、YAPがShhの発現をコントロールしている可能性が示唆された。
また、ヒト臨床サンプルを用いた解析も進めた。特発性肺線維症患者のfibroblastic fociにおいてYAPが高発現していることを示すことができた。これにより、TAZのみならず、YAPも肺線維症の病態に関与している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験計画書に記載している通り、肺上皮特異的TAZ/YAP欠損マウスを作成するのに、当初はタモキシフェン誘導型のCreリコンビナーゼを使用予定であったが、Creリコンビナーゼを上手く作用させることができなかった(タモキシフェンの濃度調整などを行っていく予定)。そのため、現時点ではSPC-Creとの掛け合わせで解析を進めている。

今後の研究の推進方策

まず、TAZ/YAPの機能の比較に関しては、主として転写コアクチベーターとしての働きに着目する。既によく知られているCTGFの発現調節能には、両者の違いを認めなかったが、YAPのみがShhの発現調節に寄与している可能性が考えられているため、ルシフェラーゼアッセイやChIPアッセイなどによる解析を進める。
近年、YAPが成体における組織再生に重要な役割を担っていると報告されている。本研究で、TAZ/YAPが胎生肺の上皮にて重要な役割を担っていることから、これらの遺伝子の肺上皮幹細胞における役割を検討する。細胞株を用いて、幹細胞のマーカーがTAZ/YAPの過剰発現によりどのように変化するのかを確認すると共に、欠損マウスの肺上皮を分離して、その分化能を評価する。
また、肺線維症や肺の組織再生のマウスモデルを作成するためには、タモキシフェン誘導型のCreリコンビナーゼを用いて、肺の成熟後にYAPの機能を欠損させる必要があるため、タモキシフェン誘導型のYAP欠損マウスの樹立を目指す。

次年度使用額が生じた理由

主として、目的とする遺伝子改変マウスの樹立が当初の計画より遅れたため、飼育費用や解析に使用する費用が計上されなかった。

次年度使用額の使用計画

目的とするマウスが樹立でき次第、その飼育や解析の費用として用いていく予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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