現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
誘発試験における、①吸入前、②吸入6時間後、③吸入24時間後に採取した血清を用いて、Bio-plex マルチプレックスシステムを用いて各種サイトカインを測定した。具体的には、Bio-plex ProヒトサイトカインGI 17-plexパネル(#M5000031YV)およびケモカインパネル(CXCL1, CXCL2, CXCL5, CXCL10, CCL17)を用いた。 本研究は「ヘルシンキ宣言」および「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守して実施し、東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会で承認を受けた(承認番号1497番、2016-176番)。 結果:誘発試験陽性例20例、陰性例20例の計40例の気管支肺胞洗浄液を比較したところ、誘発試験陽性例では有意に誘発試験後に好中球が増加していた。そこで、現時点で前向き試験によりエントリーした13例(吸入誘発試験陽性11例、陰性2例)において誘発試験前後でサイトカイン測定を行ったところ、誘発試験陽性例では,吸入6時間後にG-CSF, IL-6, CCL2, CXCL1, CXCL2が有意に上昇していた(Figure 2)。また、吸入24時間後に施行したBALFではG-CSF, IL-6, IL-8, CXCL2が有意に上昇しており、CXCL10も上昇する傾向があった。
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今後の研究の推進方策 |
過敏性肺炎における抗原吸入後の急性期には好中球性炎症が関与していることが示唆され、G-CSF, IL-6, CCL2, CXCL1, CXCL2などのサイトカインおよびケモカインが病態に関与していることが示唆された。また、誘発試験陽性例のBALFではIL-8上昇も認め、局所ではIL-8も好中球性炎症に関与していることが考えられた。BALFではCXCL10の上昇を認め、Th1リンパ球の活性化も起きていることが示唆された。一方、急性過敏性肺炎の病態にTh17が関与しているとの報告があるものの、今回の測定では血清およびBALFにおいてIL-17の上昇は認めなかった。今後更に症例の集積を行い、同様の傾向があるのかどうか検証していく。また、これらの知見をもとに過敏性肺炎の診断ツールとしてこれらのサイトカインやケモカインが有用となるかどうか検討していく予定である。
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