研究課題/領域番号 |
16K09576
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
宮崎 泰成 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30396999)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肺線維化 / 過敏性肺炎 / ケモカイン / プロスタノイド |
研究実績の概要 |
本研究計画において掲げた達成項目は、①吸入誘発試験前後のケモカイン・プロスタノイドの変化、②ケモカイン・プロスタノイドの肺線維化における役割、③アンタゴニストによる肺線維化抑制効果、の3つである。平成29年度は、平成28年度で検討した「①吸入誘発試験前後のケモカイン・プロスタノイドの変化」の結果に基づいて、「②ケモカイン・プロスタノイドの肺線維化における役割」の検討を行った。過敏性肺炎における抗原吸入後の急性期には好中球性炎症が関与し,G-CSF,IL-6,CCL2,CXCL1,CXCL2,TNF-αなどのサイトカイン・ケモカインが病態に関与していることが示唆された。吸入誘発陽性例では血清およびBALFにおいてIL-8の上昇を認め,抗原吸入時における好中球性炎症に関与している可能性が考えられた.血清ではIFNγおよびCXCL10(IP-10),またBALFでもCXCL10の上昇を認め,Th1リンパ球の活性化も起きていることが示唆された。吸入誘発陽性例では血清中のIL-10の上昇を認め,病態への関与が示唆された.過敏性肺炎において,特異抗原吸入直後には好中球性炎症とTh1リンパ球を介した炎症が早期より惹起されることが分かった。以前の検討で、急性期から慢性線維化に移行することにより、Th1/Th2バランスがTh1からTh2に移行することがわかっていたが、慢性線維化期の症例でも吸入誘発という急性症状を誘発するとTh1の反応が残っていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
達成目標の3つのうち、2つ目まで達成されており、概ね順調と判断した。 急性期のマウスモデルから急性期の過敏性肺炎の病態を類推し、今回は慢性線維化期の臨床献体において線維化につながるケモカインの検討を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、マウスモデルを使用して、今回の結果の検証を行うとともに、過敏性肺炎の慢性線維化に関わるケモカインやプロスタノイドのアンタゴニストによる肺線維化抑制効果を検討する。過敏性肺炎の急性・慢性モデルはすでに構築されているので、この検討の手始めとして、現在、IL-17KOマウスやCRTH2KOマウスで検討を始めている。 さらに、本研究の知見をもとに過敏性肺炎の診断ツールとしてこれらのサイトカインやケモカインが有用であるかどうか検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 金額に見合う試薬がなかったため、次年度に繰り越すことにしました。 (使用計画) 研究試薬代としてすぐに使用します。
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