特発性肺線維症は予後不良の難病であり、診断・治療・新薬開発ストラテジーのパラダイムシフトとして特異性の高いバイオマーカー(BM)の開発が急務とされる。 種々の細胞が分泌するエンドソーム由来の細胞外小胞であるエクソソームは、新たな細胞間・臓器間のコミュニケーション手段として病態や診断から注目されている。本研究目的は、ブレオマイシン誘導肺線維症モデルの血清エクソソームの定量プロテオミクスを用いて疾患特異的BMを探索することである。EV-secondにより単離した血清エクソソームについて、ノンラベル定量プロテオミクスから697種類のタンパクを同定した。バイオインフォマティクス(IPA)によると、エクソソームの蛋白プロフィールは、線維化病態を反映することが示唆された。さらに、線維化モデル群において、3倍以上増加がみられた82個種類のBM候補のうち、組織における線維化と正に相関するBMを21種類認めた。さらに、免疫染色による半定量解析により、BM候補タンパクは線維化病巣において有意に発現が増加することを見出した。 以上より、本ストラテジーで見出されたBMは、肺線維症の新たなBMとして有望であり、IPF患者における有用性について次世代プロテオミクスにて検証を進めている。
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