研究課題
本研究課題ではリンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomyomatosis: LAM)の病態解明を行っている。LAMは平滑筋細胞様のLAM細胞が体軸リンパ節などで増殖、主に肺に転移し、多発性嚢胞を形成する、慢性・進行性かつ全身性の希少・難治性疾患である。本年度は昨年度に引き続き、臨床への応用を目指すべく、血清エクソソーム(Exo)からLAMのバイオマーカーの探索をさらに進めた。Exoを単離することで血液の大量の夾雑物を取り除き、網羅的解析することが可能になる。探索フェーズでLAM患者血液のExoから網羅的・定量プロテオミクスTandem Mass Tags based proteomics(TMT-MS)を行い絞り込んだ候補蛋白について、検証フェーズとして、2施設の検体を用い、次世代プロテオミクスとされる選択的・絶対定量プロテオミクスSRM/MRMにて検証した。興味深いことに、重症度の指標となる肺機能や既存のBMであるVEGF-Dとの相関の検討から、前者にはLAM肺由来と考えられる蛋白、後者には凝固・補体系の蛋白が分類されることが明らかとなった。これらの結果から血液BM候補として30蛋白を同定し、特許出願した(出願番号: 特願2018-048266、発明の名称: リンパ脈管筋腫症バイオマーカー)。また、同様の手法で、miRNAについても網羅的解析を終え、BM候補として29種を同定し、特許出願した。その他、網羅的プロテオミクスを、病態をより反映する肺組織、および、LAM細胞株由来EVにおいて施行した。
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Cellular and Molecular Life Sciences
巻: 76 ページ: 1595~1604
10.1007/s00018-019-03014-7