研究課題
免疫は、過度の免疫反応を抑制するシステムを有し、主に抑制性の補助シグナル分子によって機能している。この抑制性補助シグナル分子を免疫チェックポイント分子と呼び、現在、CTLA-4、PD-1とそのリガンドPD-L1の抗体製剤を使用することができる。呼吸器領域においては、抗PD-1抗体がⅣ期非小細胞肺がんの予後を著しく改善させたが、その奏効率は、20%前後とその効果は限定的であった。現在、CTLA-4とPD-1/PD-L1以外にも複数の免疫チェックポイント分子が存在することが分かっている。本研究においては、免疫チェックポイント分子であるPD-1ホモログ(PD-1H)、B7-H3、B7-H4、BTNL2に対する抗体作製を行っている。チオグリコレートにて誘導したマウス腹腔滲出性マクロファージのmRNAから、これらホモログのcDNAをRT-PCRによりクローニングした。組換え発現ベクターに導入し、これらホモログと免疫グロブリンのキメラ蛋白をチャイニーズハムスター卵巣細胞に発現させ、培養上清からプロテインGカラムを用いて可溶型キメラ蛋白を精製した。これらを抗原として、ラットの足底に皮下注射で免疫を行い、リンパ節B細胞を回収し、 マウスミエローマ細胞との細胞融合を行い、融合細胞(ハイブリドーマ)を作製、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングし、抗体作製を行っている。これらの分子は、免疫チェックポイント分子としてがん免疫の抑制などへの関与が示されているが、その機能、及び受容体に関しては明らかではない。本研究で作製した抗PD-1ホモログ抗体により、CD4陽性T細胞増殖がex vivoで亢進する可能性が認められた。また、同抗体によりOVA誘導性喘息モデルマウスにおける気管支肺胞洗浄中の好酸球数がin vivoで増加する可能性が示唆された。抗PD-1ホモログ抗体の機能解析、及び、新たな抗PD-1ホモログ抗体、B7-H3、B7-H4、BTNL2抗体の樹立を進める。
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