研究課題/領域番号 |
16K09590
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
山岡 利光 昭和大学, 腫瘍分子生物学研究所, 准教授 (40384359)
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研究分担者 |
大森 亨 昭和大学, 腫瘍分子生物学研究所, 准教授 (10276529)
荒田 悟 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 准教授 (20159502)
佐々木 康綱 昭和大学, 医学部, 教授 (20235279)
本間 まゆみ 昭和大学, 医学部, 助教 (20527171)
楠本 壮二郎 昭和大学, 医学部, 助教 (30465091)
中嶌 賢尚 昭和大学, 医学部, 助教 (90365768)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | EGFR / TNF / COPD / 発癌 |
研究実績の概要 |
肺癌は、癌による死亡原因の第1位である。この難治性癌に対する新たな治療戦略の確立が急務である。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙と独立した肺癌の危険因子である。喫煙とCOPDに関与する様々な分子が肺癌の発症を促進していることが示唆されているが、いまだメカニズムの解明には至っていない。申請者らは、最近、上皮成長因子受容体(EGFR)が腫瘍壊死因子(TNF)による細胞障害・組織障害から保護的な役割を担っていることを明らかにした。本研究は、肺組織に特異的に腫瘍壊死因子(TNF)を高発現しているSPC-TNFトランスジェニックマウス(SPC-TNFマウス)に生来EGFR発現が低下しているEgfr-Velマウスを交配することで作製された新規肺障害モデルマウスTNF-Egfrマウスに対しニコチン由来タバコ特異的ニトロソアミン(NNK)を投与し肺癌を発生させることで、COPD合併肺癌における慢性炎症の果たす役割を分子生物学的に解明し、さらに得られた知見を、ヒトCOPD合併肺癌に臨床展開し、COPD合併肺癌患者群の特性を明らかにすることを目的とする。本年度は、COPD様病理組織像を呈するSPC-TNFマウスとEgfr-Velマウスを交配することで作製された新規肺障害モデルマウスであるTNF-EgfrマウスにNNKを投与し肺癌が発症し得るかを胸部CTで確認した。今後、発癌の機序を明らかにし、この機序を、COPD合併肺癌患者の病理組織(正常部分と肺癌部分)を利用して検討する。この様に基礎から臨床へ研究を展開してゆくことを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、申請者らが作製した新規肺障害モデルマウスTNF-Egfrマウスにニコチン由来タバコ特異的ニトロソアミン(NNK)投与により肺癌を発症させることで、慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併肺癌における慢性炎症やTNFあるいはEGFRの果たす役割を、基礎から臨床まで展開し、解析する。主に、以下の2つの研究項目を計画している。1. ニコチン由来タバコ特異的ニトロソアミン(NNK)をSPC-TNFマウス、Egfr-Velマウス、及びTNF-Egfrマウスに投与することで肺癌を発症させ、そのメカニズムを解析する。2. COPD合併肺癌患者の特性をCOPD非合併肺癌の癌組織と比較しながら、TNF, EGFR, 肺細胞障害、アポトーシスに焦点を当て解析する。 現在、上記の項目のうち1→2への実施移行中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、申請者らが作製した新規肺障害モデルマウスTNF-Egfrマウスにニコチン由来タバコ特異的ニトロソアミン(NNK)投与により肺癌を発症させることで、慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併肺癌における慢性炎症やTNFあるいはEGFRの果たす役割を、基礎から臨床まで展開し、解析する。主に、以下の2つの研究項目を計画している。1. ニコチン由来タバコ特異的ニトロソアミン(NNK)をSPC-TNFマウス、Egfr-Velマウス、及びTNF-Egfrマウスに投与することで肺癌を発症させ、そのメカニズムを解析する。2. COPD合併肺癌患者の特性をCOPD非合併肺癌の癌組織と比較しながら、TNF, EGFR, 肺細胞障害、アポトーシスに焦点を当て解析する。 本年度は、マウスをC57BLマウスからA/Jマウスに変更し、肺癌の発症を一層、解析しやすいモデルを作製する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙と独立した肺癌の危険因子である。喫煙とCOPDに関与する様々な分子が肺癌の発症を促進していることが示唆されているが、いまだメカニズムの解明には至っていない。本研究は、肺組織に特異的に腫瘍壊死因子(TNF)を高発現しているSPC-TNFトランスジェニックマウス(SPC-TNFマウス)に生来EGFR発現が低下しているEgfr-Velマウスを交配することで作製された新規肺障害モデルマウスTNF-Egfrマウスに対しニコチン由来タバコ特異的ニトロソアミン(NNK)を投与し肺癌を発生させることで、COPD合併肺癌における慢性炎症の果たす役割を分子生物学的に解明し、さらに得られた知見を、ヒトCOPD合併肺癌に臨床展開し、COPD合併肺癌患者群の特性を明らかにすることを目的とする。本年度は、COPD様病理組織像を呈するSPC-TNFマウスとEgfr-Velマウスを交配することで作製された新規肺障害モデルマウスTNF-EgfrマウスにNNKを投与し肺癌が発症し得るかを胸部CTで確認した。現在、採取されたマウス組織の解析を実施しており、次年度使用に繰越となっている。次年度は、このマウス組織の解析を元に、その発癌機序の解明とCOPD合併肺癌患者の病理組織(正常部分と肺癌部分)を利用した検討への展開を予定している。
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