研究実績の概要 |
本研究は、ドライバー遺伝子異常(EGFR, ALK、METなど) 肺癌の分子標的薬耐性機序と癌幹細胞に関わる長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA) の臨床的意義を明らかにし、耐性克服と根治を目指すことを目的とする。前年度までに、EGFR-TKI耐性株、ALK-TKI耐性株、MET-TKI耐性株と親株を用いて、網羅的lncRNA発現解析にてスクリーニングした分子標的薬耐性に共通に関与するlncRNAとしてCRNDEを同定し、定量的RT-PCRにて耐性株で発現が上昇していることを確認した。さらにバイオインフォマテイクス解析にて、CRNDEパートナー蛋白質としてIRX5をスクリーニングした。本年度(最終年度)は、肺癌細胞株HCC-827のオシメルチニブ耐性株を用いて、CRNDEをsiRNAにより抑制したところ、IRX5の発現低下を認めた。また、IRX5をsiRNAにより抑制したところ、cPARPの発現上昇あり、アポトーシスが誘導されることを明らかにした。以上より、肺癌の分子標的薬(EGFR-TKI, ALK-TKI、MET-TKI)耐性に共通に関与するlncRNAとして、CRNDEを同定し、その関連タンパク質がIRX5であり、耐性克服に向けた新規治療標的となることを明らかにした。今後、EGFR-TKI耐性株やALK-TKI耐性株を用いて、薬剤耐性解除法の開発などの更なる研究を継続し、新規治療法開発に繋げていく予定である。
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