研究課題/領域番号 |
16K09593
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
水野 史朗 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80397281)
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研究分担者 |
石崎 武志 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80151364)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 気腫多様性 / 気道可逆性 / ADRB2遺伝子変異 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における肺気腫分布の多様性と慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における主たる治療薬であるβ刺激剤に対するβ2アドレナリン受容体(ADRB2)遺伝子多型を解析し、COPD/肺気腫患者における気管支拡張剤による治療反応に関する、形態的・遺伝的な患者特性を明らかにすること、さらに喘息合併COPDの診断に関する肺構造的・遺伝的因子を特定することである。 気腫多様性と気道可逆性の検討では、気道可逆性陽性群(ΔFEV1 ≧ 200 mlかつBDR ≧ 12%)において、EHI% (upper-lower)が気道可逆性陰性群(ΔFEV1 < 200 mlまたはBDR < 12%)に比して有意に低下しており、上肺野有意の気腫病変を持つ群はprocaterolによる気管支拡張効果が弱いことが明らかとなった。また、気腫性病変の程度(%LAA)と一秒量は弱い負の相関を持ち(r = -0.17, p < 0.05)、気道可逆性陰性群では一秒量と%LAAとの間に負の相関を認めていた(r = -0.270, p < 0.0001)。気腫多様性の左右差EHI% (right-left)については、前述の気道可逆性に有意な差は認めなかった。 気道可逆性陽性群と陰性群では、気腫の重症度、血清IgE値や末梢血好酸球分布を含む患者背景に有意な差は認められなかった。また、ADRB2 Arg16Gly遺伝子多型群間での検討では、COPD患者群におけるΔFEV1、BDR%とも多型間での有意な差は認めなかった。しかしながら、上述の気腫多様性を組み合わせて患者群を上肺野有意であるEHI% (upper-lower)>10と気腫分布に偏りの少ないEHI% (upper-lower)≦10群に分けて検討した場合には、ADRB2 Arg16Gly遺伝子多型のArg/Arg遺伝子群がArg/Gly、Gly/Gly遺伝子群に比してprocaterol投与後のΔFEV1、BDR%いずれもが有意に高いことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ADRB2遺伝子解析の結果は、予備検討通りの結果となり、画像解析による患者解析も順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は凍結してある血液サンプルを用いた、気道可逆性や気腫形成に関するバイオマーカーの検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の未使用額があり、ほぼ同程度の額が本年度にも持ち越された。翌年度は血清サンプルの解析を行う予定であり、その解析のための物品費に翌年度分の助成金と合わせて使用する予定である。
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