研究課題/領域番号 |
16K09594
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
瀧川 奈義夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60325107)
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研究分担者 |
山根 弘路 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50624897)
越智 宣昭 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80611615)
本多 宣裕 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80746876) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | EGFR / ALK / APOBEC3B / プロテオーム |
研究実績の概要 |
HEK293細胞株にEGFR-wild type、EGFR-DelE746A750、EGFR-L858R、EGFR-Del19T790M、およびEGFR-L858R-T790Mをレンチウイルスベクターで導入し、EGFRの高発現をqRT-PCRとWestern blottingで確認した。これらはすべてテトラサイクリンのスイッチモデルによるEGFRのオン・オフ細胞株としている。同様にBa/F3細胞株にEGFR遺伝子を導入している。Site-Directed Mutagenesisを用いてプライマーを設計し、EGFR野生型、EGFR-エクソン19欠失型とEGFR-L858R変異型を作製した。引き続きEGFR-エクソン19欠失型+T790MとEGFR-L858R+T790M変異型を作製した。いずれの細胞株もEGFR依存性があることを確認した。 プロテオーム解析では、EML4-ALK融合遺伝子を有するヒト肺癌細胞株とそのクリゾチニブ耐性株を用いて2次元ゲル電気泳動を行ったとところ、約2000スポットの発現量の差が認められた。そのうちピークが明らかに異なるもの3つを切り出し、MALDI-TOF型質量分析システムにより解析した。Mascot(Matrix Science社)検索システムのMS/MS Ion Search法を用いてアミノ酸配列を同定し、耐性株に高発現しているスポット1239、1840、2272部位から4つのタンパク質を同定した。これらのタンパク質が真にALK阻害薬耐性に関与しているか否かを検討中である。 遺伝子修復酵素のAPOBECファミリーがEGFR遺伝子変異の出現に関連しているか否かの検討を行っている。その中のAPOBEC3B発現を5種類のEGFR野生型の細胞株と10種類のEGFR変異細胞株を比較したところ、有意にEGFR変異株で高発現が認められた(p=0.016)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HEK293細胞に遺伝子導入したEGFR変異株のEGFRシグナル依存性が約2倍と予想外に低かったため、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬によるselectionを繰り返している。その他は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
HEK293細胞へのEGFR遺伝子変異を導入した細胞株よりもBa/F3細胞へ導入した細胞株の方が、EGFR依存性の高い細胞株が得られている。早く完成した方に3次変異(C797S)の導入を行い、プロテオーム解析を行う。同じ分子標的薬であるALK-TKI耐性株においてはプロテオーム解析の結果が得られ、少なくとも4つのタンパク発現の高度な差が認められた。実際にこれらのタンパクを抑制する薬剤を使用して、in vitroでALK阻害薬耐性が克服可能と考えられれば、ゼノグラフトモデルで確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一番費用を要するプロテオーム解析がまだEGFR変異株では行えていない。今年度残額は次年度請求額と合わせて、プロテオーム解析を行う。
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