研究実績の概要 |
これまで、申請者はIL-1ファミリーサイトカインIL-18がTh1細胞分化誘導だけでなくIL-13産生Th2細胞やNK細胞を分化誘導することをin vitroで証明した。IL-18を遺伝子改変にてヒトimmunoglobulin (Ig)プロモーターを使ってリンパ球特異的過剰発現させるIL-18トランスジェニックマウスを世界で初めて作製した。IL-18は気管支喘息でTh2細胞を分化誘導し、好酸球主体の気道炎症を誘導し、気道過敏性を亢進させることを証明した。 そこで、我々は遺伝子解析上IL-18と相同性のあるIL-38に着目した。リウマチマウスモデルを用いた先行研究で、IL-38は抗炎症性サイトカインことを報告した(Biochemistry and biophysics reports 2015;4:386-391.)。“IL-18はM2マクロファージ誘導(アクセル)し、IL-38はM2マクロファージ誘導を抑制(ブレーキ)する。この結果、IL-18,IL-38はTh2サイトカイン産生を制御する”という作業仮説を持った。 本研究で、IL-18がMacrophage Activation Syndrome(MAS)の発症に関与していることを報告した(Blood 2018;131:1442-1455.)。また、IL-38は肺線維症や抗がん剤による肺障害に関与する(Respiratory investigation 2017;55:293-299.)。また、肺がんにおけるIL-38の発現とPD-L1の発現は強く相関する(PloS one 2017;12:e0181598.)ことを報告した(PloS one 2017;12:e0181598.)。最近、IL-38が気道の過敏性の増悪に関与することを報告した(The Kurume Medical Journal, 2019)。
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