分子標的治療を使用するDriver oncogene依存性非小細胞肺がん患者15名を対象とした前向き観察臨床試験を計画し、4回(治療前、4週間後、24週後、耐性後)の採血を行った。末梢血Tリンパ球では、それぞれサブセットにおけるPD-1、FOXP3およびCTLA-4を4-color intracellular flowcytometryで解析したが、有意に変動のあるものはなかった。その結果から、マルチプレックス法にてサイトカインを測定することとなった。PD-1阻害剤で加療を行った非小細胞肺癌患者77名に対して、治療前、治療後の血清を用いて80種類の血中サイトカイン(TGF-β、IFN-γ、IL-2、IL-6、IL-8およびIL-10など)をバイオプレックスによるマルチプレックス法で網羅的解析を行った結果、CXCL2、MMP2などの炎症サイトカインが治療とともに変動することを見いだしたことから(論文報告)Driver oncogene依存性非小細胞肺がん患者においても炎症性サイトカインが変動するものと考えた。2018年6月までに予定症例数を50例まで追加して、治療前、治療後の血清及び、治療効果無効時の血清15例を集積して約80種類の免疫関連を含む炎症性サイトカインをバイオプレックスによるマルチプレックス法で網羅的解析をおこなった。測定を終え統計解析の結果、数種類のサイトカインが治療効果と関係があることが分かり、肺癌組織も含めて解析している。本研究は、分子標的治療前後の検体を用いており、分子標的阻害剤が、1年前後の奏功を示すために症例集積が遅れたが、2018年6月までには50症例の集積を終え、治療症例も1集積することができ、現在論文作成中である。
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