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2017 年度 実施状況報告書

イメージングMS可視化によるウレミックサルコペニアの機構解明と治療薬の探索

研究課題

研究課題/領域番号 16K09599
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 恵美子  東北大学, 薬学研究科, 助教 (20466543)

研究分担者 高橋 信行  東北大学, 薬学研究科, 准教授 (40588456)
森 建文  東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40375001)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード腎不全 / 尿毒素 / サルコペニア
研究実績の概要

昨年度までの研究から、尿毒素のインドキシル硫酸が筋細胞内の代謝に影響を与え、筋減弱症(サルコペニア)を誘導すること明らかにした。そこで本年度は、組織での代謝変化経路のモニタリングと、治療薬候補の検討を行った。腎不全モデル動物はC57BL/6Jに0.2%アデニン食を7週間与え、アデニン誘発腎不全モデルマウスを作成した。さらに、治療候補薬である経口吸着炭であるAST-120を4週間投与した。最初に、腎不全時に代表的尿毒素である、インドキシル硫酸(IS)とパラクレジル硫酸(PSC)が各組織(脳,心臓,肝臓,腎臓,筋肉,膵臓,脾臓,白色脂肪,褐色脂肪,精巣,胸腺,肺,小腸,大腸,盲腸)へ蓄積するかについて検討した。またAST-120による蓄積軽減の評価についても行った。その結果、ISもPCSも腎不全時に対象としたすべての組織に蓄積することが明らかとなった。AST-120投与で腎臓、筋肉、精巣、脾臓に蓄積したISは有意に減少した。一方、PCSはすべての臓器でAST-120投与で蓄積が有意に減少した。さらに、組織に蓄積した尿毒素の分布について、イメージMSで評価した。ISおよびPCSの組織内分布は、腎臓以外の組織では、装置の検出感度以下であるため観察することができなかった。腎臓でのみISとPCSの観察することができ、腎臓の障害を受けている領域に蓄積していることが明らかとなった。この結果は、免疫染色の結果と一致していた。また、AST-120投与による組織内尿毒素蓄積軽減による組織機能等の回復について評価を行った。AST-120投与で、腎不全時の腎機能、線維化の回復は認められなったが、筋組織で骨格筋筋束横断面の面積が改善した。今回の結果から、腎不全時に尿毒素は全身臓器に蓄積し、AST-120投与でその蓄積が軽減し、骨格筋では筋束横断が改善することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

腎不全に全身臓器に尿毒素が蓄積していることを明らかにし、この尿毒素が及ぼす組織内代謝変化をイメージングMSで評価する予定であったが、多くの代謝物がイメージングMSの検出限界以下であり、捉えることが難しい。そのため、他の手段で代謝変化を評価している。評価法を変更したが、計画通り進んでいる。

今後の研究の推進方策

ウレミックサルコペニアの治療薬を探索するため、ビフィズス菌を投与する予定であったが、ビフィズス菌を入手することができなくなった。そのため、アデニン腎不全誘発モデルマウスの腸内細菌叢の変化を調べ、またAST-120が与える影響について検討を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Impact of the Oral Adsorbent AST-120 on organ-specific accumulation of uremic toxins: LC-MS/MS and MS imaging techniques2018

    • 著者名/発表者名
      Emiko Sato, Daisuke Saigusa, Eikan Mishima, Taeko Uchida, Daisuke Miura, Tomomi Morikawa-Ichinose, Kiyomi Kisu, Akiyo Sekimoto, Ritsumi Saito, Yuji Oe, Yotaro Matsumoto, Yoshihisa Tomioka, Takefumi Mori, Nobuyuki Takahashi, Hirosi Sato, Takaaki Abe, Toshimitsu Niwa, and Sadayosi Ito
    • 雑誌名

      Toxins

      巻: 10 ページ: 19-33

    • DOI

      10.3390/toxins10010019

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Uremic toxins accumulate within all body tissues in a renal failure condition2018

    • 著者名/発表者名
      Emiko Sato, Daisuke Saigusa, Eikan Mishima, Nobuyuki Takahashi, Hiroshi Sato, Takaaki Abe, Toshimitsu Niwa, Sadayoshi Ito
    • 学会等名
      ISN FRONTIERS MEETING
    • 国際学会
  • [学会発表] 代謝変化に基づく尿毒症性サルコペニアの発症機序の解明2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤 恵美子、森 建文、三島 英換、鈴木 亜里沙、佐藤 博、丹羽 利充、阿部 高明、伊藤 貞嘉
    • 学会等名
      第60回日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] LC-MS/MSとイメージングMSによる腎不全時における尿毒素臓器蓄積とAST-120による治療効果の評価2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤 恵美子,三枝 大輔、三島 英換、三浦 大典、佐藤 博、丹羽 利充、伊藤 貞嘉
    • 学会等名
      第42回日本医用マススペクトル学会年会
  • [学会発表] 慢性腎臓病患者においてインドキシル硫酸による骨格筋内代謝変化がウレミックサルコペニアを誘導する2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤 恵美子
    • 学会等名
      第42回日本医用マススペクトル学会年会
    • 招待講演
  • [図書] 腎不全におけるサルコペニア2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤 恵美子
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      科学評論社
  • [図書] 腹膜透析とグアニジノ化合物2017

    • 著者名/発表者名
      佐藤 恵美子、森 建文
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      東京医学社

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公開日: 2018-12-17  

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