本研究では急性腎障害(AKI)回復後の慢性腎臓病(CKD)進展をCKDあるいは心不全動物モデルで再現することを目的とし、大動脈縮窄(Transverse Aortic Constriction:TAC)圧負荷心不全モデルと腎虚血再灌流(Ischemia reperfusion injury: I/R)モデルを中心に検討を進めた。本研究の特徴は慢性疾患を予め実験動物に導入することで、ヒト臨床像と近い病態を再現することを試みている点である。前年度から再現性をもって同程度の心肥大およびその後の心不全進展がマウスモデルで作成することが可能となり、心不全マウスにおける腎虚血再灌流障害の長期的な影響を線維化進展を中心に検討を行った。当初の予想と異なりTAC心不全モデルにおいてはAKI後のCKD進展が軽減することが見いだされた。その機序として交感神経活性の亢進が保護的に作用しているのではないかという仮説を元に、腎除神経術を追加したところ保護的作用が低減することを確認した。
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