研究課題/領域番号 |
16K09609
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 佐和子 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (80625757)
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研究分担者 |
湯澤 由紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00191479)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
小杉 智規 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90584681)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミッドカイン / 高血圧症 / エポキシエイコサトリエン酸 |
研究実績の概要 |
本研究では『MK-EETs血圧調節機構の解明を通じて、腎・心血管疾患における組織保護を有する新規降圧療法の開発』を目的として、まず腎の血行動態を観察するため多光子共焦点レーザー顕微鏡A1R MP (Nikon)を用いた生体深部にいたる観察を目的としたシステムの確立をおこなった。結果として、ローダミン染色したデキストラン(赤色)を尾静脈から静注して腎臓皮膜表面に直接端子を密着させ、可能な限りの血管容積や血流の測定を行なった。更に、皮膜及び腎実質の切開をおこなった上での計測をおこなったが、切開による影響は避けられず、さらに精度を増した端子の開発が待たれる結果となった。 次に、上記システムを利用して、血管収縮作用をもつepoxyeicosatrienoic acids(EETs)阻害剤やアデノシン阻害剤を投与するとMK欠損型マウスで血管は収縮し、血圧の上昇とともに血流量の低下や血管径の収縮を認めた。血流速度は上昇していた。一方で、交感神経系評価のためニコチンアセチルコリン受容体阻害薬を投与したところ、MK欠損型マウスに投与すると血圧が下降し、血流量の増加を示した。NO経路はMK欠損型マウスで野生型と比較し、尿中・臓器のNO代謝産物において有意な差を認めず、レニン・アンギオテンシン・アルドステロンおよびプロスタグランディンI2に差を認めなかった。そのため血流についても、大きな変化を認めなかった。一部既報と合致しないところあり、今後の課題となると考えた。 また、糖尿病性腎症におけるMKの微小循環系、特にPTCに対する影響を検討すべく湯澤らによりJASN誌に投稿されたカルモジュリン強発現マウスに抗MK抗体を使用した実験系をおこなったが、糖尿病性腎症における血液量や流速・血管系については理論的に合致した結果を得たが、抗体の効果については不十分であり、今後の検討課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、2年目に行う予定である片腎摘後にdeoxycorticosterone acetate (DOCA)のペレットを埋め込み、1%の食塩水を投与する(DOCA salt モデル)の動物作成は終了し、検証途中にある。また、臨床献体についても引き続き収集中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、臨床検体の収集は順調に推移し、DOCA salt モデルを使用した塩分負荷モデルも検体採取を終えている。今後、分子生物学的及び病理組織学的検索を行い詳細な検証を加える予定である。さらに、1年目に行う予定であった糖尿病モデルについても引き続き、1型自然発症糖尿病モデルを利用し検証を続ける。
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