現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TLRシグナル下流のエフェクター分子に対して抑制効果を持つとされるmiRNA候補を、in silicoにて選定。リポフェクション法にてそのmiRNAを、予めLPS刺激したRAW cellへ投与。上清へのIL-6, TNF-αの発現量をELISA法にて測定した。その結果、miR-Xが最も効果的であると判断。以降EF-1プロモータを利用したmiR-X発現ベクターを、in vitroにてRAW cellに遺伝子導入し、miR-Xの過剰発現を確認した。 次に動物実験として、PEIをドラッグデリバリーシステムとして、マウスへmiR-X発現ベクターを投与。1週間後に、in vivo imaging, ベクターに組み込まれたGFPの発現の評価から、脾臓に多く発現ベクターが取り込まれていることがわかった。免疫染色、及び表面マーカーによるソーティングにより、取り込まれた細胞は脾臓マクロファージであることが示唆された。その後CLPモデルを作成し、敗血症を惹起した。miR-X発現ベクターを投与した群は、Empty ベクターを投与した群と比較し、生存率が改善していた。また、臓器障害の指標として、AST, ALT, BUN, Crが低値であり、血中のIL-6, TNF-α, MCP-1といったサイトカインも抑制されていた。腎臓への単核球浸潤、接着分子E-selectinの発現が抑制されていた。更に検討を重ね、PEIによるベクターのデリバリーサイトである脾臓を予め摘出したマウスに、PEI/ベクターを投与、その後CLPモデルを作成した所、ベクターによる生存率の改善効果、臓器障害のマーカー、血中サイトカイン血症に有意差が消失し、コントロール群と同等な障害となった。よって、脾臓こそが本治療法のターゲットとなる臓器であり、脾臓における過剰な免疫応答をコントロールすることで、生存率が改善したと考えている。
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