研究課題
我々は、以前よりmicroRNA (miRNA)についての研究を進めてきた。miRNAは20塩基程度のsmall RNAに分類されるが、エピジェネティクスの代表であり、遺伝子発現のファインチューナーとして、mRNAの発現を調整している。過去に乳がん細胞由来のExosomesは、Exosomes内にmiRNAの成熟に必要なDicer, TRBPといった機構を内包しており、細胞なしでもmiRNAを生成できる事を報告した。これはmiRNAが細胞非依存的にExosomes内で生成される事を意味し、ExosomesがmiRNAの運び手としてさらに注目されるに至った。miRNA研究は病態解明、バイオマーカー、治療と、大きく3つの分野に別れるが、バイオマーカーとしても大きな注目を集めている。腎メサンギウム細胞由来のExosomesは、細胞表面上にメサンギウム細胞のマーカータンパクを保持しており、そのマーカーを利用して、腎臓由来Exosomesを選択的に回収し、RNAを抽出。そこに含まれるmiRNAを測定することで、腎疾患診断の精度を高める技術に関して、特許を取得し、現在解析を進めている。(P2017-67706A)また治療物質としてのmiRNAは、siRNAといった人工的な核酸と異なり、本来生体内にそなわったRNA干渉機構として、安全性などを含め、次世代の核酸医薬として、期待されている。今回我々は、極めて致死率の高い敗血症に対して、TLRを負に抑制すると言われるmiR-Xに注目をし、従来治療法が確立していない敗血症性AKIに対し、核酸医薬を用いた全く新しいアプローチで、新規治療法の開拓に取り組んでいる。
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Laboratory Investigation
巻: ー ページ: ー
10.1038/s41374-019-0190-4