• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

腎臓における細胞内糖鎖修飾の役割―生理的役割から糖尿病性腎症の病態形成まで―

研究課題

研究課題/領域番号 16K09612
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

金崎 雅美  滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30402720)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード腎臓 / 生理学 / 解糖系 / 糖鎖修飾
研究実績の概要

細胞内蛋白に対する種々の翻訳後修飾は細胞の機能維持に不可欠であるが、ポドサイト機能制御における蛋白翻訳後修飾の役割には不明な点が多い。核内及び細胞内蛋白にN-アセチルグルコサミンが付加されるO-GlcNAc修飾の役割が解明されつつあるがポドサイトにおける役割は不明である。本研究ではO-GlcNAc修飾を制御するO-GlcNAc transferase (OGT)をポドサイト特異的に先天的に欠損するマウス(ポドサイト特異的OGTKOマウス)及びタモキシフェン誘導により後天的に欠損するマウス(タモキシフェン誘導性ポドサイト特異的OGTKOマウス)を作成しポドサイトにおけるO-GlcNAc修飾の役割を検討した。ポドサイト特異的OGTKOマウスは8週齢から尿蛋白が出現し、32週齢では高度尿蛋白を呈し、腎組織ではポドシンの発現量低下や点状化、電子顕微鏡における著しい足突起構造の破綻に代表されるポドサイト障害を示しポドサイト数の減少さえ認めた。一方、タモキシフェン誘導性ポドサイト特異的OGTKOマウスも尿蛋白を示したが、誘導32週での尿蛋白量はポドサイト特異的OGTKOマウスと比べて非常に少なくポドサイト障害の程度も軽微であった。以上よりO-GlcNAc修飾がポドサイト足突起構造及び機能に不可欠であることが明らかとなり、特に出生後のポドサイトの成熟に重要であることが示唆された。また、引き続き近位尿細管特異的OGTKOマウスを作製し現在機能解析を行っている。さらに糖鎖修飾を過剰に起こすためにOGA遺伝子の糸球体上皮細胞特異的欠損マウスならびに尿細管細胞特異的欠損マウスを作製開始する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に予定したポドサイトにおけるOGTの機能解析は全て終了し論文公表までいたり、さらに尿細管細胞特異的な機能解析まで順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

先天的近位尿細管細胞特異的OGT欠損マウス、薬剤誘導性近位尿細管細胞特異的OGT欠損マウスを作製し、近位尿細管細胞におけるO-GlcNAc修飾のloss-of-functionが細胞機能や生命維持に及ぼす影響を検討する。既に先天的欠損マウスが12週齢以降に尿細管細胞における再吸収機能障害を呈する知見が得られている。特にこの点に関し、全ての再吸収機能に影響を及ぼしているのか、メガリン機能、各種分子(グルコース、リン、尿酸、アミノ酸、HCO3-)の中で特異的な機能障害を呈しているのかを解明していく。
糖鎖修飾を過剰に起こすためにOGA遺伝子の糸球体上皮細胞特異的欠損マウスならびに尿細管細胞特異的欠損マウスを作製開始する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] O-linked β-N-acetylglucosamine modification of proteins is essential for foot process maturation and survival in podocytes.2017

    • 著者名/発表者名
      Ono S, Kume S, Yasuda-Yamahara M, Yamahara K, Takeda N, Chin-Kanasaki M, Araki H, Sekine O, Yokoi H, Mukoyama M, Uzu T, Araki SI, Maegawa H.
    • 雑誌名

      Nephrol Dial Transplant.

      巻: 32 ページ: 1477-1487

    • DOI

      10.1093/ndt/gfw463.

    • 査読あり
  • [学会発表] 蛋白O-GlcNAc修飾は糸球体上皮細胞(ポドサイト)の機能維持に不可欠である2016

    • 著者名/発表者名
      小野 真也, 山原 真子, 久米 真司, 中澤 純, 金崎 雅美, 荒木 久澄, 荒木 信一, 宇津 貴, 前川 聡
    • 学会等名
      第59回日本腎臓学会学術総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2016-06-17 – 2016-06-19

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi