腎障害の終末像である糸球体硬化の特徴は細胞外基質増生である。我々は、これまで、転写因子Smad1が糸球体の細胞外基質増生を制御し、その上流因子BMP4中和抗体の投与で細胞外基質増生が抑制されることを示した。今回は、これらの現象をより詳細に解析した。まず、糖尿病マウスへのBMP4中和抗体投与では、糸球体へのFibronectin沈着と蛋白尿の増加が認められた。また誘導型Smad1欠損マウスを確立して、実験腎炎を惹起した結果、腎炎でも細胞外基質増生抑制を確認できた。さらに、誘導型Smad1欠損マウスは12週では表現型を認めなかったが、36週経過後には、糸球体内皮障害を疑う所見を認めるようになった。
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