研究課題/領域番号 |
16K09614
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 篤史 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10704786)
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研究分担者 |
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00379166)
高畠 義嗣 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30403075)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Rubicon / 肥満 |
研究実績の概要 |
現段階では、近位尿細管特異的Rubicon KOマウス(以下、KOマウス)と対照マウス(野生型マウス)に対して、約1年間の高脂肪食負荷をしているが、高脂肪食負荷群では体重に有意差を認めず、むしろ、対照群として設定している通常食負荷群において、Rubicon KOマウスでは対照マウスと比べて4ヶ月以降に有意に体重が増加していることがわかった。以下、通常食負荷での(つまり通常の飼育環境下においての)両マウスの経過について報告する。 1年齢において、各臓器などの重量を比較したところ、肝臓・内臓脂肪・皮下脂肪などの重量が有意に増加しており、HE染色やOil O red染色などにより、これらの臓器の脂肪沈着量に差があることが判明した。また、血中の総コレステロールがRubicon KOマウスで有意に高値を示しており、Rubicon KOマウスでは近位尿細管での脂質の取り込みが多いことが示唆された。また、オートファジー活性に関しても、このRubicon KOマウスとGFP-LC3トランスジェニックマウス(オートファゴソームのマーカーであるLC3をGFPで標識)との交配により作成したマウスでの解析により、Rubicon KOマウスでは理論通り、オートファジーが亢進していることも確認できた。 我々が樹立したRubicon欠損近位尿細管細胞と対照細胞を用いたin vitroの実験においては、in vivoと同様に、Rubicon欠損近位尿細管細胞では対照細胞と比べてオートファジーがより亢進していることが確認でき、さらには、脂肪(酸)を負荷した際に細胞内の脂質含有量が増加していることも確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近位尿細管特異的RubiconKOマウスにおいてオートファジーが亢進することについては当初の予定通りに確認できたが、近位尿細管特異的Rubicon KOマウスが通常食の飼育下で肥満を呈することは予想外であった。 通常飼育下で表現型を認めるために、当初予定していた高脂肪食・糖尿病などの負荷モデルを施行しても解釈が難しいと考えられる。実際、高脂肪食負荷実験では、通常食で見られていた肥満という表現型が消失する結果となっている。 今後は、通常飼育環境下で見られる肥満という表現型を追究していくことに主眼を置いていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
近位尿細管特異的Rubicon KOマウスが肥満を呈することに関して、オートファジー亢進との関連も含めて、そのメカニズムを追究していく。もともとオートファジーは栄養飢餓の際に活性化される性質を持っていたが、栄養が十分ある状況下においてはオートファジーの亢進が栄養過多につながるのかもしれない。 また、in vitroにおいては、脂質(脂肪酸)を負荷した際にRubicon欠損尿細管細胞において細胞内の脂質含有量が増加している点については、細胞外からの取り込みが亢進している可能性と細胞内でのオートファジー亢進が、細胞内脂質の増加につながっている可能性がある。この点を区別するために、オートファジー阻害剤やエンドサイトーシス阻害剤を用いた実験を行う予定である。
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