研究課題/領域番号 |
16K09618
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
土井 盛博 広島大学, 病院(医), 病院助教 (80626127)
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研究分担者 |
正木 崇生 広島大学, 病院(医), 教授 (30397913)
中島 歩 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 特任助教 (40448262)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 老化 / p16 / 虚血再灌流障害 / 線維化 / ヒストンメチル化 / ヒストンメチル化酵素 |
研究実績の概要 |
これまでの研究によって、腎臓の虚血再灌流障害によって誘導される細胞周期の停止した細胞の腎組織への蓄積は、ヒストン脱メチル化酵素JMJD3やUTXを介するヒストン3リジン27のトリメチル化(H3K27me3)の脱メチル化ではなく。ヒストンメチル化酵素mixed-lineage leukaemia 1(MLL1)の発現亢進を介するヒストン3リジン4のトリメチル化(H3K4me3)が関与していることを明らかした。さらに、その阻害剤であるMM-102を腎再灌流後から連日腹腔内に投与することで、腎虚血再灌流後の細胞周期の停止に強く関与する分子であるp16の発現を抑制し、senescence-associated beta-galactosidaseの発現や腎線維化(α-smooth muscle actin、collagen1の発現)も抑制することを明らかにした。腎線維芽細胞を用いた細胞実験において、MLL1の発現が、虚血や酸化ストレスの刺激ではなく、transforming growth factor-beta1(TGF-β1)の刺激で誘導されることを見い出した。また、TGF-β1が、MLL1の発現亢進を介して、H3K4me3を誘導し、p16の発現が亢進することも確認した。現在、p16の発現が、TGF-β1の下流に存在する転写因子Smad2/3/4を介したものかどうか、また、p16のプロモーター領域に存在するSmad binding elementが関与しているかについて調査を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、p16の発現は、ヒストンメチル化酵素JMJD3を介するH3K27me3を介していると推定していただが、実際には、MLL1を介するH3K4me3を介していることが明らかになった。したがって、当初の計画通りとはいかなかったが、実験の方はほぼ順調に進行しており、来年には論文化できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、MLL1と共同してH3K4me3を誘導する共役分子の関与について検討した後、腎生検で得られた組織を用いて、実臨床でMLL1やH3K4me3の発現状況の確認を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品が予想した価格よりも安い価格で購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の購入にあてる。
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