研究課題
1. 腎機能が障害された症例での血中FABP4濃度及び尿中FABP4排泄量の臨床的意義を明らかにするため、腎生検が行われた症例の血中FABP4濃度及び尿中FABP4排泄量を測定したところ、血中FABP4濃度及び尿中FABP4排泄量は腎機能とはそれぞれ負の相関、尿タンパク量とはそれぞれ正の相関を示した。更に対象をIgA腎症に絞り、年齢、性別、BMI、血圧、eGFR、中性脂肪、血中FABP4濃度の背景因子で補正して解析したところ、それぞれ尿中FABP4排泄量は尿タンパク量、尿タンパク量は尿中FABP4排泄量の独立した説明因子であった。2.糸球体障害時の異所性FABP4発現を確認するため、腎炎モデルであるgddYマウスを用いて検討したところ、gddYマウスではコントロールマウスでは認められなかった糸球体FABP4の発現を認めた。糸球体内で発現するFABP4の局在は、糸球体内皮細胞及びマクロファージであった。半定量法で測定された糸球体FABP4の発現面積は、尿中アルブミン排泄量と強い相関を示した。更に糖尿病腎症モデルであるKK-TA/Akitaマウスにおいても同様にコントロールマウスでは認められなかった糸球体異所性FABP4の発現を認めた。3.ヒト糸球体内皮細胞 (HRGEC: Human Renal Glomerular Endothelial Cells) でのFABP4の発現をmRNA およびタンパクレベルで確認し、更にマウス糸球体上皮細胞(MPC: Mouse Podocyte Clones)へFABP4負荷及びFABP4特異的抗体の投与により炎症性サイトカインの発現パターンの変化が認められることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
研究実施計画を順調にこなしている。
現在進行中の検討を継続していく。
(理由)今年度中に使用する実験試薬に余裕があったため、次年度以降に購入を回した。(使用計画)残額を含めて実験試薬を購入する。
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