In Vivoにおける遺伝子改変を試みるにあたり、当初の予定であった超音波法を用いたgRNAの導入では遺伝子改変効率が極めて不十分であったため、昨年度よりAAVを用いたgRNAの導入法へ切り替えた。また改変する遺伝子に関しても、少量の細胞でも遺伝子改変を確認されるように、発癌を誘導するような遺伝子改変へと切り替えた。具体的にはがん抑制遺伝子であるLkb1、p53を機能消失させ、癌促進遺伝子であるKRASを持続活性化するようなAAVを作成し、腎盂内投与を行った。結果、5か月の経過で異型細胞の集簇を複数認めていた。 本年度はまず同様の実験を複数回行い、異型細胞の集簇の存在が再度確認された。また投与するAAVのコピー数なども増加させたが、異型細胞の集簇の数に変化を認めなかった。腎組織内で認められた異型細胞の集簇がCRISPR/Cas9により遺伝子改変されたものであることを確認するために、組織よりDNAを抽出し、予想される遺伝子改変部位を含むPCR産物に対して、T7エンドヌクレアーゼアッセイを行った。しかし遺伝子改変が生じた細胞の割合が低いためと考えられ、確認が困難であったため、パラフィン切片から腎組織の異型細胞を認める部位をmicrodissectionにより採取し、そこからDNAを抽出した。T7エンドヌクレアーゼアッセイを行い、ミスマッチ変異を生じていたことが確認された。また異型細胞はCytokeratin陽性であり、尿細管上皮細胞由来であることが確認された。
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