研究課題/領域番号 |
16K09625
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
竹中 恒夫 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (90179656)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | クロト / 多発性嚢胞腎 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、実験動物センターのラット飼育室に空きがなかったので、当初28年度に予定しておりましたラットの研究に替えてPCYマウス(当初は平成30年度に予定していました)を用いた研究を先行させて行いました。多発性嚢胞腎のモデルであるPCYマウスを使用してクロト蛋白の補充効果を検討しました。多発性嚢胞腎では嚢胞形成のため腎重量が増加しますが、腎重量は対照群に比べてクロト補充群で低下していました。また、クロト投与群において嚢胞の大きさや血清クレアチニン濃度にも低下傾向がみられ、腎線維化の指標となるfibronectinの発現は有意に抑制されていました。PCYマウスにおける尿蛋白排泄が元々少ないためか、クロト投与では尿蛋白に有意な変化は見られませんでした。しかし、酸化ストレスマーカーである8-epi-prostaglandin F2αの排泄はクロト投与で低下しました。腎臓でのpAKTの蛋白量はクロト投与群で低下しており、嚢胞拡大の抑制につながったことが示唆されました。また、TGFβの下流にあたるpSmad3がクロト投与群で低下しており、線維化の抑制につながったことが考えられました。このように、クロト蛋白はIGF受容体やTGFβ受容体と相互作用を及ぼします。今回の結果からクロト蛋白はpAKTやpSmad3などの多面的な影響を介してPCYマウスにおける腎嚢胞形成や線維化を抑制し腎保護に働くことが示唆されました。今後はpAKTやpSmad3の腎臓における局在を同定し、国際学会での発表や論文投稿を考えております。引き続き、宜しくお願い申し上げます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験動物センターのラット飼育室に空きがなかったので研究の予定を変更した。当初は平成30年度に予定していたマウスを用いた研究を繰り上げて先行させて行いました。ラットについては29年度に実施予定です。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度は、動物実験センターの都合でラットからマウス(当初は平成30年度に予定していました)の研究に切り替えた。また、28年度は休みが取れず、学会発表ができませんでした。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度にラットを用いた研究を実施する予定です。また、今年度は国際学会での発表も承認いただいております。
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