研究課題
これまでに、計64検体の日本人剖検腎を用いた総ネフロン数の推算を終了した。これまでの検討と同様に、総ネフロン数には正常腎機能であっても大きな個体 差があり、総糸球体濾過量と密接に関わっていることが明らかになった。さらに、高血圧の既往がある個人は正常血圧例と比較してネフロン数が少ないことなど が分かった。総糸球体濾過量を総ネフロン数で除することによって得られた、単一糸球体濾過率は、高血圧によって増加することなどが示された。本研究はアジ ア人を対象として行われた初めての研究であり、国内外の腎臓病・高血圧領域の学会においてその成果が高く評価された。さらに、多人種を対象として行われた 同様の検討結果と比較して日本人の総ネフロン数は60数万/腎程度と少ないことが明らかとなった。一方で、このような総ネフロン数の人種差は体格補正に よって有意差がなくなることもわかり、体格に見合ったネフロン数であることが示唆された。また、人種によって加齢によるネフロン数の減少の程度も異なるこ とが示唆された。一方で、同じ人種や年齢であってもネフロン数には大きな個体差があることが示され、疾患感受性との関連性など興味深い課題が多く残されている。今後、心血管病有病率と糸球体濾過異常との関わりや糸球体のポドサイト数など微細構造との関連性など、さらに詳細な検討を行っていく予定である。
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