研究課題/領域番号 |
16K09632
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
高橋 和男 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90631391)
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研究分担者 |
湯澤 由紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00191479)
水野 智博 名城大学, 薬学部, 助教 (40711669)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | IgA腎症 / 免疫複合体 / プロテオミクス / 質量分析 / バイオマーカー開発 |
研究実績の概要 |
IgA腎症は,わが国に高頻度に認める慢性糸球体腎炎である。患者血液中に糖鎖異常IgA1を含む免疫複合体が形成され,腎糸球体メサンギウム領域に沈着し炎症を惹起すると考えられる。その血液中IgA免疫複合体の分子量は70万Da以上であり,IgA1はその他のタンパク質と結合していると考えられるが,その詳細な構造は明らかではない。そこで本研究は,高分解能質量分析計(Orbitrap Fusion ETD)を用い,①血液中のIgA免疫複合体に含まれるタンパク質の同定・定量,②同定されたタンパク質・IgA1複合体の糸球体からの検出・定量を行い,IgA免疫複合体の沈着機序の解明を目指す。さらに,③血液中あるいは尿中のIgA免疫複合体の検出・定量方法を確立し,①-③を,新たな非侵襲的診断方法の開発につなげることを目的とする。 H29年度は,①に関して前年度から患者数を増やし(IgA腎症患者20名,健常者50名),IgA1ヒンジ部O結合型糖鎖解析と,IgA結合タンパク質の解析を行い,IgA腎症特異的に増加するタンパク質を複数明らかとした。②として組織よりレーザーマイクロダイセクション法にて糸球体を単離し質量分析計にて組織タンパク質の解析方法を確立し,IgA腎症患者,その他腎炎患者,健常者の解析に着手した。①,②を進めることでIgA腎症特異的なIgA免疫複合体構成タンパク質を同定し,そのタンパク質をターゲットとした新たな診断法の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既にIgA腎症20名,健常者50名の解析は終了した。腎生検組織の解析プロトコールが概ね完成したため,実際の患者検体の解析に移行した。
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今後の研究の推進方策 |
IgA腎症患者腎生検組織から糸球体沈着IgA1の糖鎖構造解析及びプロテオーム解析を行う予定である。また,IgA腎症患者血清からIgA1免疫複合体を分離し,IgA1の糖鎖構造解析及びプロテオーム解析を行う予定である。これら解析からターゲットとなるIgA腎症特異的なIgA免疫複合体構成タンパク質を複数同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品購入の際の端数として36円が発生したためそれを繰り越し,計1,200,036円を使用する。
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備考 |
これまでの研究成果を踏まえ更新を予定している
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