研究実績の概要 |
イコサペント酸 (EPA) の摂取不足と心血管病発症の関連を示す疫学データは豊富だが, 介入研究は限られている. 本研究では, stage G3~G4のCKD症例に, EPA投与, 非投与の並行群間比較を行い, CKD進展抑制効果を検討した. 最終的に287例のCKD患者が登録された。EPA群 vs 対象群の順に、年齢66 vs 66歳、糖尿病性腎症16 vs 16%、eGFR37.5 vs 36.7ml/min/1.73m2, 尿蛋白0.92 vs 1.14, EPA/AA比0.29 vs 0.33、TG144 vs 148、sBP137 vs 137, dBP80 vs 81と偏りなく割り付けられ、2年間の観察を終えた。1年時点の中間解析では⊿eGFRはEPA群 vs 対象群で-1.4 vs -1.6 ml/min/1.73m2と有意差がないが、蛋白尿区分の層別解析ではA3群(尿蛋白≧0.5g/gCr)において有意な治療効果を認めた。副次的な評価項目としてコレステロール取り込み能によるHDL機能検査を実施し解析を行っている。 本研究は, 脂質管理に明確なエビデンスの乏しいCKD診療に新規治療を提示するのみならず, ひいては心血管病の抑制に貢献する可能性をひめている. 加えて, 魚を中心とした日本の食文化を医学的な見地から見直し, 世界に発信する契機とする.
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