研究成果の概要 |
イコサペント酸 (EPA) の摂取不足と心血管病発症の関連を示す疫学データは豊富だが, 介入研究は限られている. 本研究では, stage G3~G4のCKD症例に, EPA投与, 非投与の並行群間比較を行い, CKD進展抑制効果を検討した. 2年間の観察で, 尿蛋白≧0.5g/gCrの進行が速い一群において, GFR低下抑制効果がみられた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
CKDでは腎機能低下を抑制するため, 血圧管理, 血糖管理, 貧血管理などの集学的治療を行う. 無論, 脂質管理も含まれるが, 心血管病に十分なエビデンスを有するスタチンでさえも, 腎に対する効果は明らかでなく, 早急にCKDに対する脂質管理の在り方を確立する必要がある。 本研究は, 脂質管理に明確なエビデンスの乏しいCKD診療に新規治療を提示するのみならず, ひいては心血管病の抑制に貢献する可能性をひめている. 加えて,魚を中心とした日本の食文化を医学的な見地から見直し, 世界に発信する契機となる.
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