研究課題
前年度において、メタボリック症候群モデルの腎臓、脳のAGEs発現を確認したところ、腎臓の糸球体内にglyceraldehyde-derived AGEsが大量に蓄積しており、脳においてもAGEsの蓄積を認めたことから、AGEs-aptamer、もしくはRAGE-aptamerがメタボリック症候群における脳腎連関を遮断しうるツールになると考え、aptamer投与の効果について確認を行った。まず現在のaptamerが脳血液関門を通過しない可能性があるとのことで、新たな課題としてaptamerが脳血液関門を通過しうるか否かについて検討する必要が出てきた。[γ-32P]ATP-labeled AGEs-DNA aptamerを正常のラットに投与すると、脳への集積は腎臓と比較して約三分の一にとどまった。このaptamerが脳のどの部位に作用するかについてAGEs-DNA aptamerにFITCをラベルして投与を行ったが、特異的な染色を確認することは困難であった。バックの自家蛍光が高いためと思われる。これまでのアプタマーはDNAaseによって分断されないようにS-oligo Phosphorothioateにて修飾していた。S-oligo Phosphorothioateにて修飾しないRAGE-aptamerを正常のSDラットに投与したが、やはり脳への移行は乏しかった。これは、やはりDNAaseによってDNA-aptamerが分断された結果と考察する。現在は、AGEs-DNA aptamer、RAGE-aptamerの脳への移行を補助する手段の探索を行っているところである。
2: おおむね順調に進展している
実験はおおむね順調に進んでいると考えている。しかし当初の予定では、そのままS-oligo Phosphorothioateにて修飾したAGEs-aptamer、RAGE-aptamerの使用を考えていたが、脳へのaptamerの移行が腎臓と比較してあまり良くなく、BBBを通過しにくい原因があると思われた。したがって、今後は脳血管内皮のみならず脳内にも移行性の高いaptamerの作製、開発が必要と思われる。
今後の課題としては、脳にさらに移行しやすいaptamerの開発が必要と思われた。実際には血液脳関門に発現する蛋白質との親和性の高い修飾をaptamerに施すことによりさらに脳に移行性の高いAGEs-aptamer、RAGE-aptamerが作製できる可能性がある。メタボリック症候群モデルにこれらaptamerが有効に作用するか否かを検討していく予定である。
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