研究課題
最終年度は、実際にIn Vitro studyとしてヒト近位尿細管細胞を使用し、糖尿病状態を模倣する実験を予定していた。正常グルコース濃度(5mmol/l)、高濃度グルコース(30mmol/l)にて細胞を刺激し、RAGEや、MCP-1、IL-6、NOX5等を含めたサイトカインの動態を詳細に観察した。SGLT2阻害薬を使用して高濃度に起因する尿細管傷害が如何に改善するかについても同様に検討した。その結果、正常血糖状態と比較し、炎症性サイトカインであるMCP-1の発現は有意に上昇し、それらはSGLT2阻害にて有意にキャンセルされた。RAGEの発現についてはHGにて上昇しなかったものの、SGLT2阻害によりさらに低下を認め、高血糖に依存しないSGLT2-RAGE interactionが考えられた。IL-6の発現については、有意な変化を見ることが出来なかったさらに、NADPH oxidaseのコンポーネントであるNOX5の発現調節を観察したところ、同様にHGにて上昇を認め、それらはSGLT2阻害薬によって有意に改善を認めている。以上より、脳腎連関促進の因子であるRAGEとSGLT2が密接に関与し、高濃度グルコースにおける尿細管細胞障害を惹起している可能性が考えられる。一連の腎臓における尿細管細胞に対する糖毒性が、脳腎連関による脳傷害にいかに関与するかについて、すなわち脳腎連関が実際に高血糖を介したSGLT2-RAGE系によってもたらされるかについて、さらなる詳細な検討が必要と思われる。今後も引き続き脳腎連関について検討を重ねていく所存である。
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