初年度、予定していた低出生体重個体ラットが既報(PLOS One 10;e0118586; 2015)の50%食事制限食では得られないことがわかり、再度条件検討を行い45%制限食により効率的に低出生体重個体を得た。更に、低出生体重個体と正常出生体重個体の4週齢腎臓から抽出したRNAを用いトランスクリプトーム解析を行ったが統計学的有意差のある遺伝子は検出できなかった。RIN値が平均6.1と低かったことが、同一群のなかでの結果のばらつきをもたらしている可能性が考えられた。そこで、RNA抽出については、RIN値が平均7.5以上となるようRNA抽出法の改善を行い、また摘出した腎からシービング法で得た糸球体からRNA抽出を行うとともに、得られた糸球体から糸球体上皮細胞を初代培養しその初代培養からRNAを抽出し、トランスクリプトーム解析することを目指し、トランスクリプトーム解析を行うのに質と量が十分なRNAを抽出する条件と、更にエピゲノム解析を行うためのDNAを抽出する条件等を決めた。その後、再度、低出生体重ラット5匹と正常出生体重ラット5匹の4週齢時に腎を摘出し、シービング法により得た糸球体からRNAを抽出(RIN平均値7.5)したとともに、また糸球体から初代培養された上皮細胞からもRNAを抽出(RIN平均値9.6)し、現在トランスクリプトーム解析を外注にて行っている。今後、得られた結果のbioinformatics解析結果から病態関連候補遺伝子を検討し、当該遺伝子のプロモーター領域のエピジェネティクス解析を行う予定である。
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