研究実績の概要 |
平成28年度および平成29年度は、高血圧における血管内皮依存性過分極(EDH)の障害の機序についてEDHの標的イオンチャネルであるTRPV4, SKCa, IKCaチャネルに着目して検討した。20週齢の脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP:stroke-prone spontaneously hypertensive rat)と同週齢の正常血圧Wistar-Kyoto (WKY)ラットより単離摘出した上腸間膜動脈を用いて、各々のチャネルの機能および発現レベルを生理学的、分子生物学的手法を用いて評価した。WKYの腸間膜動脈においてTRPV4-S/IKCaの活性化がEDHの発生に関与しており、SHRSPの腸間膜動脈におけるEDHの障害は血管内皮細胞におけるTRPV4チャネルおよびSKCaチャネルの発現低下に起因することが明らかとなった。以上の研究成果はHypertension誌(Seki T, Goto K et al. Hypertension 69:143-153,2017)に掲載された。同論文は第40回日本高血圧学会総会においてYoung investigator awardを受賞した。また高血圧とEDHの関連に関して、本研究成果を含む総説論文をInternational Journal of Molecular Sciences誌(Goto K et al. Int J Mol Sci. 2018;19:E315.)に発表した。
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