研究課題/領域番号 |
16K09650
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
今西 康雄 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (50326253)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | PHEX |
研究実績の概要 |
X連鎖低リン血症性くる病(XLH) は、X染色体上のPHEXの不活性化変異が原因である。XLH患者の血清FGF-23濃度上昇が報告されているが、その機序は未だ充分に解明されていない。本研究では、網羅的遺伝子発現プロファイリングによりPHEXのシグナル情報伝達経路に関連する遺伝子群を同定し、これらの遺伝子群とPHEXとのシグナル情報伝達経路を、UMR-106細胞株を用いて、候補遺伝子に対するsiRNAで遺伝子抑制を行い検討する。 既に腫瘍性骨軟化症(TIO)における遺伝子発現プロファイリングにより、TIO腫瘍においてFGF-23のみならず、osterix、BGP、DMP-1、BMP-2、phosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome (PHEX)といった骨・骨芽細胞系列に特異的な遺伝子の発現を見いだし、免疫染色・ウエスタンブロッティング法でも確認した。間葉系由来の腫瘍が、FGF-23を分泌するためには、これらの骨。骨芽細胞関連遺伝子の発現が必要と考えるに至った。 また、UMR-106細胞で、副甲状腺ホルモン(PTH)、Bone morphogenetic protein 2 (BMP-2)の添加により、FGF-23遺伝子の発現が亢進した。それぞれBMP-2、PTHの添加により、BMP-2においてはsmad5が、PTHにおいてはsmad2がリン酸化された。BMP-2とPTHは、それぞれ異なった細胞内シグナル経路を介してFGF-23発現を亢進することが示唆された。 今回の検討では、特にPHEXにフォーカスを絞り、UMR-106細胞を用い、siRNAを用いた遺伝子抑制実験、およびXLHのマウスモデルであるHypマウスを用いて検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
UMR-106細胞株におけるFGF23遺伝子発現を確認し、さらにsiDMP-1による検討を行い、有意な結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
XLHのマウスのモデルであるHypを用いて検討を進める予定であるが、新規ノックインマウスが追加解析に有用と考え、現在作成中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
血清生化学キットの購入を予定していたが、今年度の検討ではRT-PCRによる遺伝子発現を中心に実験したため、予定よりも必要量が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降に、マウスモデルの本解析が始まる見込みであり、血清生化学キットが必要となる見込みである。
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