研究課題/領域番号 |
16K09659
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
羽毛田 公 日本大学, 医学部, 兼任講師 (60624294)
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研究分担者 |
福田 昇 日本大学, 総合科学研究所, 教授 (40267050)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 疾患特異的iPS細胞 / 遺伝性尿細管疾患 / アクアポリン / 偽性副甲状腺機能低下症 |
研究実績の概要 |
この研究の目的は遺伝性尿細管疾患として、偽性副甲状腺機能低下症、Bartter症候群、Gitelman症候群、Liddle症候群、偽性低アルドステロン症の患者末梢血から樹立したiPS細胞から腎尿細管細胞を誘導し機能解析を確立することである。予備実験としてiPS細胞201B7株からマトリゲルでBMP2、BMP7、アクチビン、レチノイン酸にて腎尿細管細胞への分化誘導し、アクアポリン1の免染を行った。21種の尿細管mRNA発現をRT-PCRで評価した。偽性副甲状腺機能低下症患者末梢血単核球に山中4因子をセンダイウイルス導入にてiPS細胞を樹立し、腎尿細管細胞への分化誘導を行い、アクアポリン1の免染で尿細管分化を確認し、さらにアクアポリン1、Nanog、Sox2 mRNAの発現をRT-PCRで評価した。結果としてiPS細胞201B7株から21日間で腎尿細管細胞へはアクアポリン1陽性尿細管上皮に誘導出来、21種の分化尿細管マーカーmRNAの発現を確認した。しかし、iPS細胞を含む未分化マーカーNanog、Sox2の発現が残っていた。そこで産総研開発のiPS 特異的細胞表面糖鎖を認識する rBC2LCN (Stem Cell Report 2016)に細胞毒 (PE23) を結合した試薬を添加して iPS 細胞を死滅しNanog 発現が低下した。臨床的に2名の偽性副甲状腺機能低下症の患者末梢血からiPS細胞を樹立し、24日間でアクアポリン1陽性腎尿細管細胞を確認した。アクアポリン1 mRNAは24日目まで発現増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトiPS細胞からの尿細管細胞への分化度の評価としてヒト末梢血単核球細胞からiPS細胞の樹立しアルカリホスファターゼ染色でiPS形成を確認したが、尿細管分化24日目にてもiPS細胞を含む未分化マーカーNanog、Sox2の発現が残っていた。iPS 特異的細胞表面糖鎖を認識し未分化iPS細胞を死滅させる産総研が開発している試薬である rBC2LCN-PE23を添加し、Nanog発現低下を確認したが、完全に除去するには至らなかった。この解釈としてNanogはiPS細胞のみに特異的ではないため、その後rBC2LCN-PE23を添加後、iPS細胞の除去を観るため別にrBC2LCN-FITCの染まりがないことで確認するため、時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト疾患特異的iPS細胞を用いた遺伝性尿細管疾患診断法を確立するため、iPS細胞からAquaporin 1陽性尿細管細胞に分化させ、Nanogの発現を指標に、未分ヒトiPS細胞除去試薬rBC2LCN-PE23またはメチオニン不含培地にて未分化iPS細胞の残存を完全に取り除く。ここで指標としてNanogではなく、rBC2LCN-FITCの染色性がなくなっている事で確認する。偽性副甲状腺機能低下症患者末梢血から誘導したiPS細胞を尿細管細胞に分化させ流が、MEFをフィーダーとするより、ラミニンコート培養器具を用いてフィーダーフリーでの高効率iPS細胞作成を試る。その上でPTH負荷でのcAMP増加とリン酸の細胞内取り込みを評価し、臨床でのPTH負荷試験(Ellsworth‐Howard 試験)の結果と比較する。
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