研究課題/領域番号 |
16K09661
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
木田 有利 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30647516)
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研究分担者 |
長澤 康行 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10379167)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 石灰化 / 鉄 |
研究実績の概要 |
透析患者において腎性貧血の管理において鉄の投与は主要な治療法のひとつであるが、同時に酸化的ストレスを増強することなどから、動脈硬化を促進する可能性がある。我々は、鉄が血管内皮細胞の石灰化の因子となりうることを見出している。しかしながら、慢性腎不全における石灰化の主要な場は血管中膜細胞(メンケベルグ型動脈硬化)である。すでに予備的な解析で、鉄負荷が血管内皮細胞に石灰化を炎症ストレスと共に誘導し、マイクロアレイにて様々なサイトカイン等がこのプロセスに関わっていることを見出している。そこで、この鉄負荷が血管中膜細胞の石灰化に影響を与えるかどうか、またどのような機序で血管中膜細胞に石灰化を惹起させるかを明らかにし、新規の動脈硬化抑制の治療法を確立してくことを目的とする。 具体的には、培養血管中膜細胞における鉄負荷による石灰化促進を確認できる実験系の確立をまず行う。次にマイクロアレイを用いた鉄負荷による石灰化促進に関与する遺伝子の網羅的解明を行った。マイクロアレイは 鉄負荷・TGFβとそれぞれ単独・共刺激を行い、さらに刺激後day 1とday3を行うことで、より確かなものを拾い出していった。さらに、マイクロアレイで確認された細胞内シグナルの遺伝子レベルあるいはタンパクレベルでの確認を行った。これにより鉄負荷による石灰化促進のメカニズムを明らかにしていった。また、鉄負荷で石灰化促進にかかわる細胞内シグナルを抗体を用いてブロックすることで石灰化抑制が可能かどうかの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養血管中膜細胞における鉄負荷による石灰化促進を確認できる実験系の確立はすでに確立している。また、マイクロアレイを用いた鉄負荷による石灰化促進に関与する遺伝子の網羅的解明を終えている。マイクロアレイは 鉄負荷・TGFβとそれぞれ単独・共刺激を行い、さらに刺激後day 1とday3を行うことで、現在IL24に着目して、検討を進めている。さらに、マイクロアレイで確認された細胞内シグナルの遺伝子レベルあるいはタンパクレベルでの確認。これにより鉄負荷による石灰化促進のメカニズムを明らかにしていく
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今後の研究の推進方策 |
培養血管中膜細胞における鉄負荷による石灰化促進を確認できる実験系の確立はすでに確立している。また、マイクロアレイを用いた鉄負荷による石灰化促進に関与する遺伝子の網羅的解明を終えている。マイクロアレイは 鉄負荷・TGFβとそれぞれ単独・共刺激を行い、さらに刺激後day 1とday3を行うことで、現在IL24に着目して、検討を進めている。これらの実験を繰り返すことで、有意差を持った変化となるかどうかの検討を進めていく。さらに、マイクロアレイで確認された遺伝子にG-CSFもあり、これについても同様に蛋白レベル・遺伝子レベルでの変化が確認されるかどうかの検討も行っていく。 これらを論文として報告できるように、最終的な確認や、まとめを行っていく
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次年度使用額が生じた理由 |
共同実験施設ならびに動物実験施設の移転に伴い、一時期閉鎖となり、動物実験やreal-timePCR培養実験を一時的に中断せざるを得なかった。来年度に、これらを実施予定であるため、必要となる消耗品の購入等に使用する予定である。
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